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2019年9月4日 信用格差/クレジットヒストリー

電通が目論む「情報銀行」構想の衝撃! キャッシュレス社会の果てのデストピアがやってくる

NPO法人主催の講演会で話したこと


8月28日、埼玉県の浦和でNPO法人「埼玉消費者被害をなくす会」が主催する一般消費者を対象にした学習会で、「キャッシュレス社会と信用格差社会」をテーマにした講演を行いました。参加者は80人ほどで、大半は中高年の女性でしたが、最近のキャッシュレスブームもあってか会場は熱気に包まれ、皆さん熱心に私の話に耳を傾けてくれました。

講演の前半は「キャッシュレスとは何か」、後半では「キャッシュレスと信用格差社会の関係」について述べました。とくに、信用スコアというものがどうして生まれたのかということと、それに派生して生まれた信用格差社会について詳しく説明しました。さらに、各国の個人情報の保護の意識について比較し、とりわけ日本人の意識のありようについて触れました。

ヨーロッパでは昨年5月に、GDPR(General Data Protection Regulation=一般データ保護規則)が施行されました。このGDPRが提唱しているところのデータポータビリティーの権利、つまり、自分のデータ(個人情報)をある管理者から別の管理者に直接移行させる個人の権利、あるいはデータを削除する権利、データ処理に関して異議を述べる権利などについても詳しく説明しました。

そして、GDPRで認められたような権利をきちんと行使するため、日本でも「情報銀行」という新たなコンセプトを持った企業が生まれ、活動を開始しています。しかし、この情報銀行には問題が多く偏った運営が計画されており、それに対し多くの批判が寄せられています。こうした動きも紹介しました。

最後に、こうした状況のなかで、個人情報をどのように守るかについて話をしました。

参加者および主催者からは以下のような感想が寄せられました。


<参加者の感想> 一部抜粋
・個人情報を知らないうちにとられないように具体的な方法を知りたい
・社会の流れが速くてついていけません
・欧州型の規制に賛成。米国型に近くなったらこの国はどうなるのか心配
・数年ぶりに帰国し現金の出番が多く不便を感じていたので日本の実情を知りたいと参加した
・これからのキャッシュレス決済を考えると不安の方が多くなった
・世界の止められない流れ
・知らない言葉が多く、難しかった
・信用情報の扱い方について各国の違いがわかってよかった
・お金、データの流れについて知りたい
・個人情報の一人歩きは怖いです

<主催者から>
キャッシュレスになじみのない参加者にとっては単語がわからないのでついていくのが大変だったとの感想もありましたが、最先端のお話しを、わかりやすく説明いただけてよかったとの声が多くありました。
(信用格差、情報銀行のところが急ぎ足になってしまい残念との感想がありました・・・)


そこで、ここではこの講演の内容を踏まえて、キャッシュレス社会が進んでいくと企業の在り方がどう変わっていくのかを、いろいろな側面で見ていきたいと思います。

リクナビ事件の背景


まず大きな変化として起きるのが、「クラウド会計」が盛んになるということです。クラウド会計とは、クラウド会計ソフトを使って企業が簡単に会計を行うことです。

キャッシュレス決済とクラウド会計がどのような関係にあるかといえば、たとえばキャッシュレス決済によってデジタル化された情報をクラウド会計ソフトに落とし込んでいけば、税務署に提出する報告書などが簡単にできるようになります。事務処理の時間が短縮されるだけではなく正確な事務処理が可能になります。

こうした点が、目に見えるかたちでのキャッシュレス決済の成果のひとつといえるでしょう。

もうひとつは、スマートフォンの活用です。スマホの活用によってさまざまな部分での「見える化」が進みます。そのことでまず、アプリの活用という変化が起きます。今、それこそ数えきれないほどのアプリが生まれていますが、それらを使って私たちの生活を豊かにすることができます。そこに決済をかみあわせれば、これまでにないかたちで日々の暮らしが変わり、改善されていくでしょう。

ただ最も根本的な変化といえば、個人情報の取り扱いではないでしょうか。たとえば、私たちの氏名、年齢、職業から始まり、いまや購買履歴、健康情報などが知らないうちに売り買いされているという状況が、キャッシュレス化によってさらに促進されるのではないかという心配があります。

先日も、就職情報サイトの「リクナビ」が内定辞退者の情報を、トヨタ、ホンダなどの大手企業38社に約400万円で売っていたという事件が発覚し、大きな問題になりました。リクナビが学生に無断で内定辞退に関するデータをつくり企業に提供していたということで、学生本人の同意を得なかったことが問題になったのですが、この背景には、私たち日本人がこうした企業側の行いを無意識のうちに許しているという問題があります。

今後、キャッシュレス化がさらに進んでいき、日本社会全体の個人情報に対する意識が希薄であり続ければ、同様の事件が頻繁に起こるようになるでしょう。

信用スコア社会のアメリカ



このことを、私が最初に考えるきっかけになったのが、いわゆる「信用スコア」です。現在のクレジットカード、電子マネー、QRコード決済などのキャッシュレス決済のポイントサービスは、還元率を中心にした「おまけ」という要素を強く打ち出すことで顧客の囲い込みを図っています。

そうした「おまけ」的要素の強かったポイントが、いま、個人情報を得る「代価」へと変わってきていると思います。ポイントを提供するからあなたの購買履歴を売ってくれとか、Tポイントなどはそうですが、そうしたサービスがどんどん出てきています。ポイント還元率の競争の時代は終わり、個人情報争奪戦の時代が始まったといえるでしょう。

その主役となるのが信用スコアです。信用スコアとは個人情報を使って個人の信用を分析するサービスのことです。キャッシュレスが進めば、このサービスの提供がどんどん可能になります。

キャッシュレスによってクレジットカードの取引が増えることで、アメリカでは、エキファックス、エクスペリアン、トランスユニオンの三大情報信用機関があって、そこに国民の金融情報が集まる仕組みになっています。その情報を分析して、スコアリングして売っている、それが現在のアメリカの信用情報機関です。その個人情報が、アメリカ人の信用を計る物差しになっています。

クレジットカードの返済履歴を使った偏差値が信用スコアといっていいのですが、その元祖がクレジットスコアです。クレジットスコア、これはFICO(ファイコ)スコアとも呼ばれますが、1990年代にアメリカで誕生したもので、クレジットカードの返済履歴をもとに金融工学を駆使して偏差値を出し、利用者一人ひとりの信用度を示すというものです。

具体的にいえば、300点〜850点で格付けし、企業や個人に自由に売られており、この点数が個人の生活を大きく左右する指標となっています。

もう少し詳しくいうと、社会保障番号と紐づいて、個人の信用力を表すものになっています。ここが重要ですが、750点以上が「Very Good」でプライム層、650点以上が「Good」で普通、649点以下がサブプライム層となり、信用力のない人に分類されます。
プライム層は、「延滞の可能性は22%と少なく、深刻な支払い不能になる確率は1%とさらに低い」といわれています。つまり、経済的に安定していて危機的状況に陥ることはない人たちということです。

信用スコアの原点「FICOスコア」


信用スコアの原点ともいえるFICOスコアが、クレジットカード利用者のどんな点をいちばんよく見ているかというと、次のような点です。

まず、毎月、必ず一定の回数クレジットカードを延滞なく支払っているかということです。クレジットカードを使わなければ点数が高くなるかといえば逆で、低くなります。つまり、一定額をコンスタントに使っている人がいちばん点数が高いのです。

ですから、評価の基準は一般の人が考えるよりはかなり複雑なものとなっています。そして、こうした基準で振り分けられた点数が、クレジットカードの取得の可否、ローン審査における金利、賃貸住宅への入居、就職活動などにも影響を与えています。

クレジットヒストリー(返済履歴)がなければ、いくら現金を持っていても信用してもらえず、アパートの部屋は借りられません。クレジットスコアが低ければ、高いローン金利に甘んじなければならないかもしれず、就職には困難が伴うかもしれません。ですから、アメリカの人はみなクレジットスコアの取り扱いには注意しようと思っているのです。

リーマンショックをもたらした格差社会



こうして信用スコアがアメリカ社会の二極化、持てる者と持たざる者の分断をもたらし、社会の信用格差の固定化につながる恐れがあるのです。

というのも、社会の上級層は、下の層の人が上級層に上がることを好まないからです。でも、自分の家族や友人が上級層に上がることは歓迎します。ですから、よくいわれるのが、スコアの高い人を友だちに持てということです。

上級層の友人の引きがあれば、上に行くのが難しいと思われた人でも、するすると出世の階段を登り、上級層の仲間入りをすることができるのです。

もうひとつの大きな問題が、サブプライムローンです。2007〜2008年ころ、プライム層に住宅ローンを貸し付けていましたが、開拓し尽くした金融機関は、新たな顧客としてサブプライム層の人々に目をつけました。

サブプライム層の人々は、もともとローンの返済能力が低く、大きな借金はできないのですが、そういう人々に無理矢理貸し付けたために焦げ付きが出て、大きな社会問題となりました。これが引き金となってリーマンショックが起きて、世界的な大不況となったのです。

この一連の出来事が教えているのは、クレジットスコアによって信用力を計り、返済能力をランク付けしても、現実は必ずしも上級層の思惑通りには動かないということです。時折、大きなしっぺ返しを受け、そのたびに多くの人々が被害を被ることになります。

ただし、2008年のリーマンショックは、そのもとがFICOスコアにあることがわかっていながら、誰もそこにメスを入れようとはしませんでした。というのは、FICOスコアがアメリカの社会インフラとして定着していたからです。あたかも空気のような存在だったために、それが問題だとは考えようとしなかったのです。

クレジットスコアをバージョンアップした中国のゴマ信用


当時私は、優秀なアメリカ人のことだから、こうしたバカげた仕組みに頼ることはやめて、信用スコアから自由になった生活を送るに違いないと思っていました。ところが、何も変わらずいままと同じように続いていますから、まったく何も反省しなかったということでしょう。

それどころか、アメリカだけではなく、中国でも同じようなサービスが生まれて、中国国民の間に瞬く間に浸透することになったのです。世界的なIT企業、アリババグループが2015年にサービスを開始した芝麻(ゴマ)信用がそれです。

ゴマ信用はクレジットスコアだけではなく、検索履歴やSNSのつぶやきまで加えたビッグデータを分析した信用スコアです。この中国版信用スコアはより生活に密着した偏差値を得ることができます。しかし、その活用法に大きな懸念が広がっています。

ゴマ信用の利用者のメリットはアリババグループが提供するさまざまなサービスを享受できることです。たとえば中国ではホテルを予約するときにデポジット(保証金)を要求されることが多いのですが、このデポジットが不要になります。いわば?顔パス?が利くことが人気の元になっているのです。

では、なぜ懸念されているかというと、ゴマ信用の点数が悪いと住宅ローンの金利が上がったりします。これはアメリカのFICOスコアと同じですが生活の多くの場面での行動がチェックされ、社会的信用がないと判断される点数になると、就職や結婚、転居などにも悪い影響があるといわれています。

日本でも2017年9月に、ゴマ信用に個人融資機能(レンディング)を加えたJスコアが、みずほ銀行とソフトバンクの共同出資の新会社によってサービスを開始しています。Jスコアは、AIによってスコアリングを行い、金利や融資金額が決めるというこれまでになかった金融サービスです。

このほかにも、ドコモレンディングサービス、LINEスコアなど、信用スコアと融資を組み合わせたサービスが続々と登場しています。

個人情報の取り扱いが異なる日米欧



こうしたなかで、個人情報をどう守るかが、今後の大きな課題になっています。そこで日米欧の個人情報の取り扱いについての違いを見てみましょう。

まずアメリカですが、資本主義の本家本元だけあって、まずは企業の自由を尊重するというのが基本的な考え方です。何でもあり、といったほうがわかりやすいでしょうか。前に述べた三大情報機関に集まる情報は、ほぼすべて売り買いできるというのが原則です。ですから、信用情報機関はいってみれば?名簿屋さん?ということになるでしょう。

それに対して個人情報の取り扱いに厳しい規制があるのがヨーロッパです。個人重視で、情報の取り扱いには慎重さが求められます。たとえば最初に紹介したGDPRという厳しい規則が設けられ、企業が個人情報を自由に売買することを禁じています。

では、日本はどうでしょうか。日本はいまのところ中庸といってよいでしょう。もともとは欧州型で、リクナビ事件でも、政府機関の個人情報保護委員会がリクナビに対して、学生本人の同意を得ずに個人情報を企業に販売したことは個人情報保護法に違反するとして、改善勧告を出しています。

このことは評価していいでしょう。また、日本には、CIC(指定信用情報機関)、JICC(日本信用情報機構)、KSC(全国銀行個人信用情報センター)の3つの個人信用情報機関がありますが、個人の金融情報の売買は禁じられています。

しかし、アメリカのトランプ大統領のプレッシャーは強く、いつまでこの欧州型を維持できるかは不透明です。

GAFAを規制するGDPR


その一方で、GAFA(ガーファ)と呼ばれるグーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンといったアメリカの巨大IT企業も、これまでのように、勝手に個人情報を売って大金をせしめるというビジネスモデルの終わりを感じ取り、フェイスブックとグーグルは欧州型の個人情報の取り扱いに転じる準備を進めているとみられます。

そうしたなかでアップルはアメリカの企業でありながら、もともと非常に厳しい個人情報保護の姿勢をとっており、一部では今後、アメリカ型のGDPRをつくるのではないか、という声も上がっています。

いずれにしても、こうした個人情報への取り組みの違いを私たちもよく知っておく必要があるでしょう。

ヨーロッパの状況をあらためて見てみると、EU(欧州連合)では、パーソナルデータに関する基本的権利を保護するため、統一的なルールとしてGDPRが施行されています。これは簡単にいってしまえば、個人が許可しなければ、企業は勝手に個人情報(データ)を使うことはできないということです。

GDPRの狙いはGAFA退治だという声もあり、実際に今年の1月フランスは、GDPRに違反したとして、グーグルに対して5000万ユーロ(約62億円)の制裁金を科すことを決定しています。

個人の情報(データ)はあくまでその人自身のものであり、企業が商品やサービスの提供などを通じて収集、蓄積した情報は、個人の意思で削除したり移動したりすることができ、マーケティングなどに利用されることに異議を唱えることができるというのが、GDPRの考え方です。

国家戦略の一端として始まった「情報銀行」構想



そうしたなかで、日本では個人情報の?シェルター?としての役割を担うものとして私が期待する「情報銀行」が注目を集めています。情報銀行という言葉を初めて耳にしたという人も多いと思いますが、おおよそ次のようなものです。

まず個人が自分の年齢、性別、職業などの基本情報のほか、クレジットカード番号や銀行口座番号、購買履歴、健康情報などの個人情報を情報銀行に提供します。情報銀行は個人から預かったその情報をデータとして加工し、管理・保管します。そして、その情報を企業に提供し、つまり売るわけですがそれで得た利益の一部を情報を提供してくれた個人に?利子?として金銭、クーポン、サービスなどのかたちで還元します。

このように、情報銀行は個人情報のやりとりで個人と企業の仲介をする事業者といっていいでしょう。

情報銀行は日本政府が2016年に発表した「世界最先端IT国家創造宣言」で明らかにされた構想で、総務省のお墨付きを得た、安全に個人情報の取り扱いができる新しい個人情報機関というわけです。すでに三井住友信託銀行とイオングループのフェリカポケットマーケティングが、情報銀行として認定を受けています。

先に、情報銀行はシェルターの役割を担うことが期待されていると述べましたが、個人の情報を預かってそれをデータとして管理・保管するという部分が、今のところまったくおざなりになっています。そこが大きな問題です。

約400社が情報銀行への参入を目論む



現在、400社くらいがこの情報銀行の分野に参入したいと意向を持っているといわれています。その筆頭が日本一の広告代理店、電通です。
電通は昨年、パーソナルデータをひとつのIDに統合管理し、個人および企業の双方にとって有益なマーケティング支援サービスを提供する新会社を設立しています。

その事業内容をもう少し詳しく説明すると、次のようになります。
個人が購買履歴や位置情報などを電通の新会社に預け、企業はその個人情報(データ)を利用するごとに、個人に対して報酬やサービスなどの対価を支払う仕組みです。昨年11月以降に企業のキャンペーンやSNSプロモーション、サンプリングなどに活用できる各種サービスを取りそろえ、利便性の高いデータマネジメントサービスの構築を見据えた、大規模な実証実験を計画中です。

つまり電通は、個人から預かった情報をフルに活用しさまざまなサービスを展開しようと考えているわけです。私がいうようなシェルターとして個人情報を守るという意識はまったくないのですが、これが日本における情報銀行のひとつのかたち、モデルであることは間違いありません。

もうひとつこれと対照的なのが、三菱UFJグループ傘下の三菱UFJ信託銀行が発表した情報銀行の事業構想です。その事業構想の核となる新サービスの仮称は「DPRIME(ディープライム)」で、このサービスを支える技術について、すでに国内特許を出願済みとのことです。

新サービスでは、個人が自らの意志でデータを蓄積・管理し、パーソナルデータ提供の対価を受け取ることができるとされ、19年度中のサービス開始をめざしているといわれます。

個人が自らの意志でデータを蓄積・管理し、パーソナルデータの対価を受け取ることができる、というわけですから、当然、データを企業に売るということだと思いますが、その際に個人の同意が必要であり、売買には個人の意思が反映されることになるはずです。

前のめりになる王者・電通


ほかにもさまざま企業が情報銀行のサービス開始を計画していますが、その基本スタンスは当然ながら金儲けです。電通のほかにも日立製作所や三菱フィナンシャルグループ、イオンフィナンシャルグループなどの名前があがっていますが、いずれも個人情報を守るシェルターではなく、個人情報の活用に重点がおかれています。

やはり注目すべきは電通の新事業です。電通といえば日本だけではなく世界有数の広告代理店として知られていますが、現在はネット広告に押されてテレビ広告が不振です。電通といえども、どうやって新分野に進出して儲けを取り戻そうかと必死なのです。

そのため、この情報銀行への取り組みは前のめりになっているといってもいいでしょう。ただ、私は個人情報に対する考え方が電通の場合は間違っていると思います。

電通は個人情報を石油などの枯渇性のエネルギー資源と同じように、1回使ったらなくなってしまう、消費してしまうものとして位置づけ、高い使用料をとろうとしています。しかし、本来、個人情報は何度でも繰り返し使える再生可能エネルギーと同じように考えるべきです。いわば公共の財産なのです。ですから、使用料などは発生しませんし、有料にするにしても安価なものに抑えるべきです。

待っているのは格差社会の果てのデストピア



情報の概念を覆すビッグデータの登場とAIの発達で、現代はあらゆる情報が利用され、これまでになかった新しいものが次々と生み出される時代になっています。

個人情報は第二のレアメタルともいわれ、金鉱脈が発見されたゴールドラッシュの到来と期待されています。情報銀行には、銀行はもちろん広告業界、マーケティング業界、スタートアップ企業が次々と参入しています。

そんななかで、電通の暴走ともいえる動きに対して、銀行やクレジットカード業界、それに、旗振り役の政府も困惑しているといった声も聞こえてきます。

なぜ400社にものぼる大企業が一斉にこの分野に参入しようとしているのでしょうか。やはり考えられるのは、情報銀行を傘下に抱え総合情報産業になることが、今後の企業の生き残りに不可欠だと判断しているからではないでしょうか。

いわば情報の新しいプラットフォーマーになることで、決済事業は手に入りさまざまなデータ処理の能力がアップしますから、あらゆる面で日本のリーディングカンパニーになる可能性が生まれます。

その魅力には誰も抗えません。問題は、置いてきぼりになる消費者であり、情報提供者です。私にいわせれば、情報提供の見返りとして、現状の粗品代程度の報酬、見返りではまったく割があいません。各情報銀行のストックオプションを情報提供者に与えるくらいの思い切った措置をとらないかぎり、情報を提供し、その利用を許可する人などほとんどいないでしょう。

そして、何より問題なのは、個人情報が流出したり、悪用されることが本当にないのか、ということです。仮に管理が万全であったとしても、情報提供者の同意無視、情報提供者への報酬なし、情報の使い捨てが行われるなら、情報銀行の前途は暗いといえます。

サブプライムローンに起因するリーマンショック、リクナビ事件の教訓は果たして生かされているのでしょうか。

そして、個人情報の収集・集積に欠かせないキャッシュレス社会の行方は今後どうなるのでしょうか。資本を持つ人だけが儲かり、庶民は収奪されるだけ、それで本当にいいのでしょうか、現状に満足しているだけでいいのでしょうか。

日本もヨーロッパ型の規制を敷いて個人の権利を守るべきです。いまのままではユートピアならぬデストピアが待っているだけではないでしょうか。

結び

 

初めて情報銀行について書きましたが、どうでしたか。
全く新しい存在で、まだ産声をあげたばかりですから、名簿屋の亜種のような機関という感じです。しかし、私たちが正しい姿勢でアドバイスを続ければ、いずれは、消費者の声を反映した素晴らしい機関になると思います。その日まで諦めずに頑張りましょう。


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