岩田昭男が「探る!」NFC搭載のiPhone6登場新時代の扉が開いた【前編】
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~カード会社から総合アカウント会社への進化–オリエントコーポレーションの今後~
岩田 : iPhone6にNFCが搭載されて新時代の扉が開きました。PayPass、payWaveに対する御社の取り組みについてお聞かせください。
山口 : Apple Payはごらんになりましたか。
岩田 : まだです。
山口 : これは千葉県浦安市の複合型商業施設に置いてあるものと同じものです。ロックされているiPhone6をこのPayPass端末に近づけると、自動的にPassbookアプリが起動しiPhone6の画面にあらかじめ登録しているクレジットカードが出てきます。この状態で指紋認証の指示が出るのでホームボタンで指紋認証すると、iPhoneから端末に情報が伝わり、決済が終了します。今までのモバイル決済だと、煩雑な手続きやダウンロードなどで使いにくかったり、面倒でした。しかし、これはAppleがつくっただけあって、お客様の使い勝手を一番に重視しています。今までのNFCとは次元が違いますね。
岩田 : これはどこで利用できますか。
山口 : 日本のPayPass、payWaveが使えるところ、すべてで使うことができます。オリコの提携先では千葉県浦安市の複合型商業施設、横浜のコレットマーレ、オリコ以外のアクワイアラーが設置したところでは、函館朝市とリムジンバスのチケット売り場、全国展開する世界最大級の家具店などで使えます。
岩田 : 上記の商業施設に行って、使ってみればいいわけですね。
山口 : 実際に、私が使ってみましたが、iPhoneに履歴も出てきます。
岩田 : このような履歴を見ると、自分もやりたいという声が出てきそうですね。
山口 : ただ、まだ日本の皆さんはピンときていない人が多いのではないでしょうか。
岩田 : 一回、僕が使ってみるといいですね。
山口 : 日本ではこれまでフェリカ中心だったのでまだ数は少ないのですが、私としては、2006年に千葉県浦安市の複合型商業施設に日本で初めてPayPassを導入し、いずれはPayPass、payWaveの時代が来ると信じてやってきたので、ようやくここまできたという実感があります。さらに今後は、東京オリンピックに向けて積極的にやっていきたいという気持ちでいます。まさにこれからが新時代の幕開けですね。
岩田 : 新しい時代ということではぴったりですね。
山口 : ただ、個人的にはもっと早く、こういう時代が来ると思っていたのですが。
岩田 : 2~3年遅かったですね。
山口 : AppleもNFCを載せると噂されながら、実際なかなか載らなかったですし、もっと早くモバイル決済の時代が来ると思っていました。我々も2006年から取り組んできましたが、半信半疑なところもあり、これまで思い切った投資をしてこなかったので反省するべき点はあります。というのも、フェリカベースのiD、クイックペイにも力を入れきたので、2010年の時点でPayPass、payWaveにもっと力を入れるということができませんでした。
岩田 : それは冒険ですよ。
山口 : しかし、少しずつでもやり続けていたおかげで、Apple Payが出てすぐにうちの加盟店で使えるということは本当にうれしかったですね。
岩田 : iPhone6で、先ほどのようなことがすぐにできるのですか。
山口 : 今のところアメリカで発行されたクレジットカード、デビットカードにしか対応していません。方法はPassbookというアプリを開くと、追加という意味があるプラスのマークがあり、それをクリックするとクレジットカード、デビットカードを登録する画面が出てきます。カメラマークがあるので、それを押してカードの写真を撮ります。そうすると、名前とカード番号と有効期限が自動的に読み取られます。これで裏面のサインパネルのセキュリティ番号を自分で入力し、次へのボタンをクリックすると、カード発行会社にオーソリをとりにいく仕組みです。
岩田 : アメリカ発行カードのみということですが、日本の発行カードはいつから利用できそうですか。
山口 : それはAppleが決めることなのでまだわかりません。Appleとカード発行会社の契約になるそうです。
岩田 : つまり、今利用できるのはアメリカ発行カードを持ち、かつiPhone6を持っている人ということですね。
山口 : そうです。先ほどピンときていない人が多いと言いましたが、日本の発行カードが対象になっていないからです。
■デバイスアカウントナンバーでセキュリティを強化
岩田 : 利用者はまだNFCに対して実感がありません。iPhone6での決済も、日本ではあと1~2年は実用化できないともいわれています。しかし、Apple Payに関して興味があり、加盟店からのカード情報流出が防げるという利点があります。その方法についてはどうお考えですか。
山口 : このセキュリティという点で大事なことは、ここに元々のカード番号の下4桁があります。ここにデバイスアカウントナンバーの下4桁が表示されていますが、いわゆるトークンとも言われているもので、私のiPhone専用の番号が振られていることがわかります。決済で使われるのは、このデバイスアカウントナンバーの方です。
岩田 : デバイスアカウントナンバーというのはコロコロ変わるのですか。
山口 : この番号はデバイスと登録したカードがセットになって一つの番号となっているもので、固定されています。これとは別に目には見えませんが中にセキュリティコードがあって、これが一回ごとに変わります。万が一、この番号が漏れたとしても、他では使うことはできません。更に指紋認証もありますから、たとえiPhoneを紛失したとしても、拾った人が使うことはできません。今、考えられる中では、お客様が意識することなく、これだけセキュリティに優れたものはなかなかないと思います。元のカード番号が決済に使われないという点で、加盟店からのカード情報流出を防ぐことができると思います。
岩田 : すばらしいですね。
山口 : Apple Payにカードを登録するときがカギとなります。現在、アメリカの発行会社では、登録しようとすると、既に登録しているメールアドレスに6桁のコードを送ってきて、それを入力するか、あるいはカード発行会社に直接電話をかけて本人確認が完了しないと登録できません。というのも、最初に、登録するカードが本人のものかどうか確認する必要があるからです。もし拾ったカードを登録しようとしても、できないようにしているわけです。
岩田 : それくらいは厳しくしないとだめですよね。
■ディズニーワールドでアトラクションの事前予約やホテルのカギとしての機能を持つ
岩田 : NFCの全体について教えてください。NFCがすごいといわれる所はどこですか。決済の他にどんな機能がありますか。
山口 : 従来、思ったほどNFCが伸びなかったのですが、このたびのApple Payの登場によって今後いろんなことができるようになると思います。たとえば、アメリカのフロリダのディズニーワールドでは、去年からマジックバンドと呼ばれるNFC内蔵のブレスレットを使っていて、アトラクションの事前の予約ができたり、買い物のほか、ホテルのルームキーにもなります。つまり、ディズニーワールドの中では全部このブレスレットでできるようになっています。
岩田 : ホテルのルームキーになるというのは、どういうことですか。
山口 : ディズニーワールド内のホテルにチェックインするときにクレジットカードを登録することで、ブレスレットがホテルのルームキーにもなるのです。12月までにディズニーワールド全体でApple Payが利用できるようになるそうなので、将来的にはこのブレスレットがなくても、iPhone6がホテルのルームキーなったりということができるようになるかもしれません。Appleも世界的なホテルチェーンのスターウッドと組んでこれをやろうとしているようです。ただ、NFCではなくBluetoothという可能性もありますが、そういった意味ではスマートフォンでできることがこれからまだまだ広がっていくと思います。
●NFC搭載のiPhone6登場で新時代の扉が開いた【後編】へ続く
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