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2014年11月20日 O2O/スマホ

岩田昭男が「探る!」
NFC搭載のiPhone6登場
新時代の扉が開いた【後編】

POSレジにNFCが対応するなど、東京オリンピック開催が起爆剤になり、クレジットカードシーンは大きく変わる。

■2016年から東京を中心にPayPass、payWaveが利用できる店を増やしていく

olympic01岩田 : 2020年の東京オリンピックを目指して日本では急速に普及が進むといわれますが、具体的なスケジュールをお聞かせください。オリコはどのように関わるのですか。
山口 : オリコは現在、PayPassにのみ対応していますが、これをpayWaveにも対応できるように準備をしており、2016年の春頃には対応できる予定です。MasterCardのPayPasssだけ使えても意味がないので、PayPass、payWaveの両方を加盟店さんに提案できるようになった段階で、東京を中心に、提携カードを含め、PayPass、payWave、すなわちApple Payが利用できる店を増やしていきたいと思っています。オリコ以外にも利用できる店を増やしていこうとしている会社も既に動き始めています。

岩田 : 端末を置き換えていくようなことですか。
山口 : そうです。基本的にPayPass、payWaveは、EMVというICチップの仕様に基づいているので、POSを導入している大型店では、POSをEMVに対応できるようにしないといけません。経済産業省も中間報告書で、すべての加盟店でEMVに対応してほしいと言っていて、一部の加盟店もそういうふうに動き始めています。加盟店が次にPOSを改修するときにはEMVとEMVコンタクトレスと呼ばれる、PayPass、payWaveにも対応するように加盟店にいろいろ働きかけをしていきたいと思っています。
岩田 : そういう段取りが必要なわけですね。
山口 : 今のPOS加盟店のほとんどはマグストライプのカードにしか対応していない。それだとApple Payに対応できません。EMVに対応する必要があるので、そこが結構大変です。

岩田 : 加盟店の導入費用はいくらくらいですか。
山口 : POS加盟店以外のCCTと呼ばれる単体の端末機を置く場合であれば、例えばリムジンバスのチケット売り場に設置されているPanasonicのCCT端末は13万から15万円と言われています。

リムジンバスのところに置いてある端末

リムジンバスのところに置いてある端末


山口 : これはフェリカにも対応していますし、PayPass、payWaveにも対応しています。ただ、先ほども言いましたがPOS加盟店については、結構なお金がかかります。POSの現在の環境や決済サーバーにもよりますが、EMVというICチップに対応するだけで億単位のお金がかかるかも知れません。
岩田 : 流通系は大変ですね。
山口 : ただ、POSは何年かに一度置き換えるときに合わせてということになります。政府があれだけ言っていて、2015年秋のライアビリティシフトの件もあるので、どちらにしてもICには対応していかなければいけないでしょう。Apple Pay、PayPass、payWaveのためだけではなくて、POSを置き換えるついでにこれも一緒に対応するということがいいのだろうと思います。あとは、POSベンダーがいかに安いPOSと端末を提供できるかということだと思います。これは2020年に向けて、ある程度進んでいくと思われます。
岩田 : これが大きな収穫かもしれませんね。

■クレジットカード以上に利便性が高まるスマートフォン

岩田 : スマホが利用者に与える影響について、カードレスになることでどんなことが起こりますか。
山口 : スマホでは電話以外にいろいろなことができるようになっていますが、さらにいろいろなことができるようになるでしょう。先ほどの、ホテルのルームキーをはじめ、今後はもしかしたら家の鍵の役目も果たすようになるかもしれないですし、車のキーも連携することになるかもしれません。そもそもiPhone6の場合、指紋認証がついているので、たとえ置き忘れたり紛失したとしても悪用されることはないということは大きいですね。この指紋認証も6本の指の指紋を登録できますよ。

岩田 : 決済についてはどのように考えていますか。
山口 : iPhone6の場合、クレジットカード、デビットカードを合計8枚まで登録できます。Apple Payはまだクレジットカードとデビットカードにしか対応していませんが、将来的にカード会社が同じように指紋認証を活用して独自のポイントカードとか、プリペイドカード、クレジットカードなどを登録できるアプリをつくってサービスするということは十分考えられます。今は、プリペイドで払う、クレジットで払うというように、支払いの時点で様々なカードを使い分けています。しかし、今後はたとえば、とりあえず加盟店で決済しておいて、後でプリペイドにするとか、クレジットカードにするということを選べるようになるかもしれませんね。
岩田 : 本当にそうなればスマホはカードですね。
山口 : カード以上ですね。これ一つで何枚ものカードの役目を果たすわけですから。たとえば、残高がなかったらクレジットカードになるということにしておけば、買うときは何も気にしなくて決済できます。100円の買い物はプリペイド、1000円だからデビットとか、あとから決済方法を選択できる便利さを消費者は味わったことがありませんよね。

岩田 : 電子マネーとアプリとカードを組み合わせるとさらに便利になると思いますが。
山口 : そのとおりですね。たとえば、ポイントも絡めて、今はプリペイドで払ったら2倍になるキャンペーンだからプリペイドで払うこともできますし、何で払うかを決めたときにポイントが付くということができるようになってくるでしょう。
岩田 : リボもそうできますね。そうすると、これまでのおサイフケータイより便利になるかもしれませんね。
山口 : さまざまなポイントも管理できるようになれば便利になると思います。

■カードレスによって、カード会社からアカウント会社へ移行する!?

岩田 : そうするとスマホがカード会社に与える影響はかなり大きなものになりそうですね。たとえば、提携カードやステータスカードなどはどうなるのでしょうか。また、カードレス社会が到来すると、〇〇カードという会社名も変わってきそうですね。利用履歴を独占できるので、アカウント会社になってしまうのでしょうか。
山口 : 私は大きな課題だと思っています。今まではカードを見せることで、お店側も何で支払っているか確認できましたが、スマホで支払ってしまうと何で払っているのかわからなくなってしまいます。その点について、現在のところコレという解決方法がありません、悩ましいところです。

岩田 : ステータスカードなど特に難しいですね。
山口 : 加盟店の店頭でゴールドカードで支払ったら自動的にポイント2倍とか20%割引とか、空港ラウンジで見せたら無料で利用などということができなくなりますね。お客さんからすれば、ゴールドだろうが年会費無料のカードでも何でもいいのではないかということになりそうです。プラチナやゴールドのアカウントのメリットを再定義してサービスを充実させておかないと、今まで見栄だけで入っていた人は何の意味もなくなってしまうかもしれません。単に物理的なカードを発行する会社ではなく、プリペイド、デビット、融資、個別クレジットなどと複合した総合的なアカウントを提供していく会社に進化しないといけないと思います。
岩田 : アカウントを持つということはその人の信用ありきですからね。その辺がこれから重要になってくるのでしょう。スマホに入れば、そもそもカード会社からカードを送る必要もないでしょうし、その分のコストも軽減できますね。
山口 : カード発行各社は利用履歴をマーケティングなどに活用し始めたところですが、これからはそれを前面に出していく必要があるのでしょう。しかし、個人情報保護の観点からもまとまったデータとしては使えても、個人単位では難しいですね。

■Suicaやnanacoの今後の動きは?

岩田 : NFCの隆盛によって、気になるのはフェリカです。Suicaなどはどうなるのでしょうか。
山口 : 鉄道の乗車券としてフェリカは残ると思います。今は拾った携帯やSuicaカードでも電車に乗れますが、それではセキュリティ的に問題です。興味深いことに、Apple PayはNFCですから、iPhone6を改札にかざすと、Passbookが起動し画面にカードが出てくるところまでは動きます。それ以上のサービスとして開発するかどうかは、JRさんとApple次第ですね。

岩田 : nanacoはNFCやりそうですね。カード会社各社はそういう動きをするのですか。
山口 : それについてはまだわからなくて、弊社や一部のカード会社は早くApple Payをやりたいと考えていますが、これまでNFCを手がけてこなかった一部のカード会社はそれほど熱心でもないなど、カード会社によって温度差があるようです。しかしながら、これまでのNFCスマホよりはApple Payに興味を持っているカード会社が多いと思います。ただ、弊社はこれまで培ったノウハウがあり、NFCやPayPass、payWaveを理解している人材もいるので、早くできればできるほど有利になると思います。

<対談を終えて。岩田の眼>
カード会社が生き残っていくためには、単にカードを発行する会社ではなく、クレジットやプリペイドやポイントや融資などの様々なアカウントを提供して管理する、総合アカウント会社になる必要がある。楽天等も追撃しているが、マーケティング会社であれば競合の可能性はあるものの、総合アカウント会社には与信と回収があるので、マーケティング会社がそこまでやるのは難しいはずだ。カード会社にとって顧客のアカウントは手放すことができない一番の柱になる。これまではクレジットカードを与信枠の中で利用することだけだったが、利用した後、今回はデビットで払うのか、プリペイドで払うのか、クレジットで払うのか、そういう選択肢を提供する総合アカウント会社に進化していかないと生き残れなくなるだろう。オリエントコーポレーションの今後の展開を期待している。

NFC搭載のiPhone6登場で新時代の扉が開いた【前編】

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