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2017年3月2日 岩田昭男が探る

宮崎でApple Payの人気を実感!! 宮崎県消費生活センター講演レポート

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宮崎県消費生活センターで「クレジットカードや電子マネーの注意点」の講演


先日Apple Payの人気を実感する出来事があったのでちょっと報告します。

2016年1月11日、宮崎県消費生活センターで、「クレジットカードや電子マネーの注意点」というテーマで講演をすることになりました。キャッシュレス化が進み、多様なカードがでてきていますが、今後はその特徴を知って上手に使いましょうという内容でした。


私は前日の夕方に宮崎市に行き、駅前のホテルに入りました。早めに行ってゆっくりしようと思ったのですが、実際は宮崎に入ってから講演の解説とそのセリフを覚えるので手一杯になりました。ホテルに荷物をおくとすぐに街に出てカフェを探しました。カフェで覚えるのが私の習性です。宮崎へは前に一度ゴルフで来たことがあります。フェニックスオープンで知られるシーガイアホテルに泊まりました。その時は宮崎市内を素通りしてシーガイヤに直行しましたから、市内の繁華街は見ていません。

電子マネーの調査にでかけるのがコツ


東京にいる時は雪が舞うような寒さでしたが、宮崎は空港からの道にも高いヤシの木が並び、南国情緒は満点でした。とても暖かい気候で、もうじき巨人軍のキャンプも始まる頃合いでした。

講演会では今話題のApple Payのことも喋ろうと思っていましたが、心配なのはこの街の電子マネー事情でした。いったい宮崎では電子マネーが普及しているのか、どんな電子マネーが優勢なのか、まずは、そうしたことをリサーチしようと思ったのです。

例えばイオンモールがあってワオンが使われている街では、セブングループのnanacoの話をしても受けません。ですから、私は講演の前には必ずその地で使われている電子マネーの情報を取材することにしています。


九州の電子マネー事情はさまざま


九州には何度か行きました。それぞれの地域で電子マネー事情がありました。博多が1番進んでいて、西鉄の「nimoca(ニモカ)」を使っている人が一番多かったです。次が市営地下鉄の「はやかけん」、そしてJR九州の「SUGOCA(スゴカ)」の順です。博多で講演するなら、最初にこの三つの電子マネーの名前をいって入ると受けます。nimoca、はやかけん、SUGOCAを連発すると、みながニコニコし始めてやさしくなります。講演もなごやかな雰囲気で進行します。ですから、私はどこに行っても、その地区の有名電子マネーの名前を出してから本論に入るようにしています。

数年前に行った長崎はちょっと特殊でした。長崎新幹線の話が浮上する前でしたが、長崎だけの交通系カードが出回っていてバスや市電で盛んに使われていたからです。スイカやSUGOCAの名前さえ知らない人が多かったのもびっくりしました。長崎市内の独自カードといったカードでいわゆるフエリカタイプではなかったように覚えています。


公共交通機関が弱いからnimocaを入れたのか?


今回の宮崎の状況もかなり特殊と言えましょう。宮崎交通のバスが公共交通の中心でしたが、nimocaを導入して、JRと共用できるようになったのでそれを記念して今回の講演会が開かれたと言うことでした。ですから、私には、電子マネーの利用方法と仕組みの解説が求められていたのです。

そこで、街中にタクシーで入って様子を確かめてみると少し違っていました。バスの数が少ないし、夕方と言うのに乗客があまり多くないのです。タクシーの運転手に何故かと聞くと「バスに乗る人はいませんよ」ということでした。みんなが自家用車をもっていて、一家に2台、3台のクルマをもっているという状況なのです。

確かによく見ると道は広いし女性ドライバーの数が多くて、びゅんびゅん飛ばしています。バスを利用するのは学生ぐらいのものです。それを見て私はこれは難しそうだと思ったのです。nimocaをみなが使って、買い物にも利用するようになるか不安になりました。しかし、一方で、こういう状況だからこそ、nimocaで住民の心を引きつけようと、バスに乗ってもらおうとしているのかもしれないと思ったりしました。

nimocaのPRにつとめてApple Payにもふれる


講演会は午後1時半から始まりました。私は何とか準備を終えてマイクに向かいました。聴衆の多くは60歳以上の男女でしたが、総勢100名近くもいて盛況でした。最初はクレジットカードやデビットカードの話をしました。すぐに電子マネーの話に入り、交通系や流通系カードの話題を取り上げました。とくにnimocaは電車に乗れるし、買い物もできる便利なカードということでPRしておきました。

その後でApple Payを紹介することにしました。聴衆の年齢が60歳以上ということで、スマホへの関心は低いだろうから、5分だけにしておきました。それで一時間半の講演を締めくくりました。

Apple Payへの異常な関心はCMにあった


しかし、最後の質問の時間になると、女性たちがたくさん手を挙げてApple Payの使い方について聞いてきました。1月初旬ですから、参加者はまだApple Payをもっている人は少なかったはずなのに、なぜ、関心が高いのかと不思議に思いましたが、その理由がわかりました。Apple PayのCMをテレビでやっていたからです。ドコモやソフトバンク、三井住友カード、JCB、トヨタファイナンス、ビューカードなどApple Payに対応したカード会社がCMをオンエアしていて、それが全国放送であることを私は忘れていたのです。

宮崎でも東京と同じものが見られるわけですから、手元にApple Payがなくともみなが関心をもって当然なのでした。iPhone7をもっていれば、宮崎でもApple Payを始めることができて、電子マネーとクレジットカードをあわせて8枚入れられるのです。これらの事実をみなは知りたかったのです。ですから、質問が集中して、私はてんてこまいになりました。

特に女性たちが聞きたかったのはiPhoneをサイフとして使えるかという点でした。その取り込み方やカードの枚数などを一生懸命に聞いてくるのでした。それをみていると、よほど毎日サイフからカードを取り出すのを煩わしいと思っているにちがいないということがよくわかりました。早くスマホひとつであらゆる支払いを済ませてしまいたいと願っているようでした。


障害者にもやさしい決済ツールを目指して


そして、最後に一人の上品な女性が立って、質問をしました。眼の不自由な方でした。日々視力が失われていくという眼の難病でした。

「眼の不自由な人にとっては、いくらスマホにカードが入って便利になったとしても、困ることが増えるだけですよ」といって、一息つくと、つづけて「サインはどうするのですか、サインを書くとさらに大変になるのではないかと心配です」といいました。

スマホの画面に指でサインする方式もありますが、Apple Payはサインはいらない方式です。「タッチIDを押すだけで本人確認ができるのでラクですよ」と私は答えました。アップルはこうしたセキュリティには指紋認証などを使って十分に気をつけているのです。それを聞くと、女性は「安心しました」といって微笑みました。

しかし、眼の不自由な人にとっては、サインなしだとしてもタッチIDボタンを探すのも楽ではないと思いました。それだけではありません。決済が終わったらどうやって知るのかとか、決済を中断するとどうなるのかなど問題はたくさんあるように思えました。こうした課題を解決しなければ障害のある人にとっては十分な決済手段にはならないだろうと思いました。アップルにはまだまだやることがいっぱいあるなと思いました。

NPO法人「消費生活とカード教育を考える会(WCCE)」

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