信用格差(1)/岩田昭男~カード履歴で就職が決まる米国
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■信用格差がもたらす社会の到来
アメリカでは、クレジットヒストリーというものがあり、就職の時に重要な評価ツールになっていて、その内容で不適格とされる人も多いという。日本でも外資系企業ではIT関係の有名外資企業のようにヒストリーを要求するところが増えている。アメリカの意向によるものですが、いよいよ日本でも厳しい時代になったといえます。
日本社会でも「格差」が急速に広がっています。それを受けてビジネス、生活、教育、介護・福祉など様々な分野で「格差」の問題が議論され、テレビ、雑誌・新聞では毎日のようにこのテーマが取り上げられています。しかし、実は「格差」には知られざるもう一つの大事な側面があることをご存知でしょうか。それが個人の「信用」格差であり、この信用こそが、社会生活を営むうえで不可欠です。私生活はもちろん、ビジネスのうえでも欠かせない「信用」。しかし問題は、近年その信用を持つ人と持てない人の差が急速に広がり始めていること。そして、信用があれば、さまざまなチャンスに恵まれ、ますます有利な立場につくことができるのです。
その一方で、信用がないといろいろな障害が行く手を阻み、簡単なことでもなかなかできなくなってしまいます。人生で大きなハンデを背負うことになるといっても過言ではありません。
2000年以降、勝ち組、負け組という言葉を耳にすることがありますが、信用があれば、狭き門の勝ち組のグループに入ることもできますが、信用を失えば、あっという間に負け組に転落してしまうという、まるで天国と地獄のような展開です。
さらに現在、その信用が厳しく格付される時代になってきました。就職で失敗した友人のケースもそのひとつ。コンピュータとネットワークの発達で、毎日利用するクレジットカードの履歴を基にして、その人の経済活動に関する信用力を判定できるようになりました。そして、信用の概念も大きく変わりつつあります。かつての日本では、年収や勤務先の格で「信用」は判断されていましたが、今はそれらと共に、クレジットカードでの買い物履歴が重要になっているのです。言い方を代えると、クレジットカードを上手にきれいに使っている人とそうでない人では、信用に大きな「差」がでる時代になったのです。
すでにアメリカでは、この信用格付方法が一般化しており、たとえば、その点数によって、その人の資産・経済力、返済能力などが判断され、住宅ローンの金利から就職、結婚、転居といった日常的な生活まで大きな影響が出るようになっています。クレジットカードがアメリカの「格差社会を補強」しているわけで、日本も急速にその方向に向かいつつあります。
特に信用を巡っては、富裕層と下流層の間で、埋めがたい溝が生まれ、闇はますます深く広がりだしています。
出世競争に勝ち残った富裕層たちが、ステータスの証として持とうとするブラックカードは「成功」「信用」の象徴です。一方で、派遣、パートといった非正規社員たちは、恵まれない収入の中で、過酷な労働を強いられているようです。信用格差を放置したままでは、弱肉強食の風潮はさらに強まり、若者が将来に希望を託せない社会にもなりかねません。そうした社会を、私たちが受け入れるのかどうか、いま真剣に考えねばならないときに来ています。
〝信用は生命の次に大切なもの〟と言っても過言ではないほど、信用があれば、社会生活はスムースに進むし、何事にも協力者を得やすい。ところが一旦信用を失ってしまうと、何をやっても裏目で、思った通りにすすまなくなってしまいます。また、信用は経済生活の基盤でもあり、信用が落ちると、資金繰りや金回りも悪くなり、多重債務や、最悪の場合は自己破産にまで追い込まれることも‥。
国内では、05年~08年にかけて信用に関する事件が頻発。食品偽装や賞味期限改ざんで、廃業に追い込まれた老舗をはじめ、雪印乳業、赤福、ミートホープなど同じ理由で信用を失墜させる企業が続々とでてしまいました。企業の信用を築くのには100年以上かかるのに、その信用を失うには一晩で充分。それほど信用というのはデリケートで、壊れやすいものなのです。
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