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2020年1月9日 岩田昭男が探る

キャッシュレス初詣問題が急浮上。お賽銭の減少、個人情報流出にSuicaとPayPayはどう対処?

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あなたは初詣に行きましたか?お賽銭は現金で入れましたか?実はこのお賽銭の現場にもキャッシュレス化の波が来ています。そして多くの問題が浮上しています。

お賽銭もキャッシュレス化

正月三が日に神社や仏閣の初詣に行った人は、かなりの数にのぼるでしょう。
さて、あなたは神様や仏様にお賽銭をあげましたか? それは現金でしたか? それともキャッシュレスでしたか?

今、このお賽銭のキャッシュレス化に注目が集まっています。
すべての現金払いをキャッシュレスにするというのが、わが国の基本政策であり、2025年にはその比率を40%に引き上げ、最終的には80%まで増やそうとしています。

ただ現在のところはまだ20%ちょっとに過ぎず、先進諸国の中ではビリから数えた方が早い方です。
そのためか「寺社仏閣のキャッシュレス化は最後の分野だから、まだ焦らなくても良い、安心せよ」という宗教関係者の意見もあります。

キャッシュレス化を恐れる神社仏閣の関係者

しかし、一部の神社関係者の中には、お賽銭のキャッシュレス化を早く進めようと呼びかけている人たちもあります。
それはなぜかと言うと、仮に現在のようなキャッシュレスブームが今後も続くとしたなら、早めに手を打たなければ、日本のキャッシュレス比率が70%を超えた頃には、現金での賽銭が消えてしまうことを本気で心配しているからです。
つまり、放っておくと、キャッシュレス比率が高くなった頃には現金を持ち歩く習慣がなくなり、それに伴い、ポケットから小銭を出してお賽銭を入れるという「美しい風習」もなくなってしまうと考えるからです。
そうなると、神社の大きな収入源であるお賽銭も激減してしまうという危機感を持っているのです。

というのも、現在でも神社の収入の内でお賽銭の占める割合は非常に大きくて、特に有名な神社になればなるほどその比率は増すと言われています(正月三が日が最大の稼ぎ時です)。ですから、キャッシュレスが進むことで、その柱を失うことを恐れているのです。
そのため、できるだけ早く、お賽銭をキャッシュレス化して時代に合わせていこうとしているのです。

すでに現在でも対応している例を挙げると、岐阜県高山市小金井神社では賽銭箱の前にOrigami PayのQRコードを置いてお賽銭を入れられるようにしています。岡山県の日本第一熊野神社等は、お守りやご朱印の購入にキャッシュレス決済を利用しています。千葉県木更津市の八剣八幡神社は地域限定の電子マネーが使えるなど、それぞれ工夫しています。

キャッシュレスの波は全国に広がりを見せ始めました。

手数料と個人情報流出の問題

しかし、一部の神社が積極的になろうとすればするほど、寺院が反対したり、多くの障害が出てきています。
その1つが、キャッシュレス化してクレジットカードやQRコードを扱うようになると、カード会社に3%~7%という高額の手数料を取られるリスクが出てくることです。

お賽銭は1つずつは小さな金額ですが、3%~7%を取られると収益は減りますから大きな打撃になります。
というのも、これまで宗教法人は税金については優遇されてきましたので、手数料を取られることでさえ敏感なのです。特に寺院側では、この手数料を大きな問題として捉えていてキャッシュレスに反対する勢力は多いと言われています。
さらに寺院側が問題としているのは、キャッシュレス化することは商業行為にあたり、宗教の考え方とは対立するから、現金で行くべきだという主張で、この考えは、京都の寺院を中心に広がりつつあります。
また、キャッシュレスになると、個人情報の収集が始まり、マーケティングに使われるようになるので、それも宗教の自由とは対立するからやめた方が良いという意見もあります。

これらは至極もっともな意見と思いますし、私も賛成です。
しかし、だからといって、厳しい規制をかければ済むことでもありません。適正な規制をかけることが大事なので、いまはその過渡期にあるとみています。
こうした状況は、改善する兆しもあります。手数料についてです。
すでにブロックチェーンという技術が広がりつつありますが、それをうまく使えば、カードの手数料はほとんどゼロに引き下げることが可能とも言われています。
そうした新しい仕組みを活用することで宗教法人の負担を減らすことも可能になるでしょう。
すでに一部のQRコード決済では期間限定ではありますが、手数料タダというところも出ていますから、この問題は早晩解決に向かうかもしれません。

大勢の参拝客をキャッシュレスで捌けるのか?

私が考えるもっと深刻な問題は、正月三が日の初詣のような大量の人出にキャッシュレスでどう対応するか、ということです。平日の参拝のお賽銭なら何の問題もないのです。
神社への参拝者は平日は少ないですし、お賽銭をあげる人が殺到するということはありませんから、キャッシュレスのうちの何を使うか、クレジットカードか、電子マネーか、QRコード決済を事前に十分に選択する時間があります。そして、その利用に関しても、余裕をもって対応できます。
しかし、初詣はそうはいきません。数百万人の人出があると、もう最初からパニックですので、現金以外の何で支払おうかとか、いくらが適正だろうとか、考える余裕はなくなります。

そういう時にどんな仕組み作りが最適なのか、今回は初詣のお賽銭対応について少し突っ込んで考えてみたいと思います。

三が日のお賽銭は「Suica」の独壇場?むしろ不利?

まず考えたいのは、あの大量の人出を捌く方法として、どんな決済ツールが適しているのかということです。数百万人の参拝者を集める寺社の境内は、まるで新宿駅の構内が突然出現したようなものです。
そんな状況に最も適したのが、Suicaのような交通系電子マネーでしょう。改札にタッチするだけで、わずか0.2秒で大量の情報を処理して改札を通過させてくれます。他のツールではこんなに早く処理できません。

しかし、現状の電子マネーには問題があります。それは、お賽銭の金額を決めるのは事業者であって、利用者には決める権利がないことです。
それぞれの事業者が設定した金額でしか支払えませんから、これが不便です。
ここをどう解決するのか?ということです。そのためには、現状の仕組み自体を変える必要が出てくるでしょう。

いよいよQRコードの出番か

それに比べると、QRコード決済の方が有利と言えるかもしれません。ペイペイや楽天ペイなどには、「スコアスキャン」と「ユーザースキャン」という2種類の方法があります。

スコアスキャンは事業者があらかじめ決めた金額で処理するのですが、ユーザースキャンはその都度利用者が利用金額を入力する仕組みになっています。
そういう意味では、お賽銭には非常に向いた支払い方法であり、ツールといえます。
ただし、仕組み的には合格なのですが、何百万人が一気に押し寄せる初詣の現場では、このやり方では、まだ捌き切れないでしょう。

QRコードの専用レーンを作ったとしても、うまくいかないと思います。問題は、やはりスマホ操作の難しさにあります。それは読み込みと金額入力の時間が限られてしまうからです。

巨大なQRコードの看板とeスポーツの「投げ銭」

これを解決するには、列に並んでいる時間を使わせるのです。
例えば、境内の本堂の上に十畳くらいの大きさのQRコードの看板を掲げておき、参拝者達が大挙押し寄せて、長い行列を作っても天空にそびえる看板のQRコードを各自のスマホでスキャンさせ、さらに並んでいる間にそれぞれの賽銭金額を入力させてしまえば、これで理想的なキャッシュレス賽銭が可能になるでしょう。

そして粛々と賽銭箱に近づいていき、最後に賽銭箱にタッチさせて支払いが終了するという仕組みにするのです。ユーザースキャンを使えば、工夫ひとつで初詣のお賽銭の現場でも充分に使えます(問題は、巨大な看板を遠くからスマホで満足にスキャンできるかどうかです)。
それにしても、これでは巨大なQRコードの看板を作ったりして、リスクが大きいですから完璧とは言えません。もっと良い方法がないものかと個人的には思います。

そこで思いついたのが、三井情報がポーランドから輸入した仮想通貨です。
eスポーツ用の仮想通貨で、一般には「投げ銭」と呼ばれるものです。ゲームの中で贔屓の選手を応援するために、ウェブ上で仮想通貨を投げ与えるというものです。この仮想通貨なら寄付する金額は自由に利用者が設定できますから、お賽銭とよく似ています。

しかも仮想通貨ですから、非常に扱いやすくて小額から自由に贈ることができるというメリットがあります。

キャッシュレス化はどんどん進展する

以上、初夢的にキャッシュレス賽銭について語ってきました。
今後の課題としては、ツール選びも良いのですが、混雑する境内でどうキャッシュレスのツールを適合させるかという点もあるでしょう。
しかし、キャッシュレスは今後も力強く進展しそうですし、まだまだ影響力を及ぼすはずです。来年の正月にどんなツールが出てくるか、今から楽しみです。


岩田 昭男

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