【岩田昭男が探る】勝ち組、PayPayの次の一手はスーパーアプリ!!
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PayPay(ペイペイ)はPayPayアプリの中に生活にかかわるありとあらゆるサービスを入れてスーパーアプリ化すると発表した。「スーパーアプリとは一体何なのか」、「PayPayが目指すものは何なのか」を探ってみたいと思う。
キャッシュレス時代のカードの持ち方
キャッシュレス決済でいつも悩むのはクレジットカードは何枚持てばいいのかと言うことだ。7〜8枚も持ってシーンごとに使い分ければもちろんいいが、それでは年会費がかかりすぎるし、財布もパンパンになってしまう。というので、私はメインとサブの2枚持ちが最高といってきた。メインカードを中心に使って、サブカードで補填するという持ち方がやはり一番いい。しかし、QRコードのスマホ決済が出てきてからは状況が大きく変わった。そこで、私は少し前から、3点セットという概念を提唱している。
これはクレジットカード、電子マネー、QRコード(アプリ)の3つで、それらを単独、または組み合わせて使おうと言うものだ。これがうまく働くのがスマホ中心で使う時だ。QRコード決済のアプリをスマホに入れ、クレジットカードをQRコードに紐付けて決済できる体制を作りながら、暮らしに役立つアプリをいくつも入れてお得を取るという戦略である。
こうしておけば、「効率よく買い物したり、きちんと公共料金を払ったりできるゾ」と、ちょっといい気になっていたが、すでに同様のサービスをするQRコード業者が現れていたので驚いた。
それが PayPayのスーパーアプリ構想であった。
地方を軸に加盟店を増やし続けるPayPay
最初、PayPayは「100億円あげちゃうキャンペーン」で名を馳せたが、現在はキャンペーンも「上限」というカセをはめたことで落ち着きつつあり、むしろ地方での中小店の開拓に注力する方向に動いている。その結果、一年足らずで140万店の加盟店を獲得、ユーザーも1000万人を超えるほど集まり、QRコード陣営のトップランナーになりつつある。そこで、PayPayとしても、次のステージに移る必要があると考え、新しい展開を打ち出した。その進化のエンジンとなるのがアプリである。PayPayは、自らの決済アプリの中に暮らしに密着したアプリを集めて「予約から決済まで」を一気に完結させようと考えており、これをスーパーアプリ構想と呼んでいるのだ。
その手本となっているのが、PayPay立ち上げのモデルとなったインド最大の電子決済サービス事業者Paytm(ペーティーエム)が行っているアプリ戦略である。決済のできるPaytmアプリの中に数多くのアプリが入っている。
それらは暮らしに関係した生活アプリで、電気料金などの公共料金の支払いから、ショッピングの支払い、さらには、映画のチケット、飛行機やバス、レストラン、ホテル、アミューズメント施設の予約、さらにはタクシーの配車アプリなど、支払いが生じるありとあらゆる他社のアプリがあり、それと紐付くカタチでPaytmアプリで完結できるようにしている。そして、Paytmの業績も、生活回りの様々なサービスをひとつに集約することで急速に成長しているという。今後はPayPayでも、このやり方をそのまま導入しようとしている。
すでに、請求書を読み取るだけで支払いが終わる「請求書払い」のような暮らしに密着したアプリも入れているが、これからは、一流ホテルの予約やレストラン、飛行機、鉄道、アミューズメント施設の予約ができるアプリやタクシーの配車アプリなども入ってきそうだ。配車アプリで、目的地をあらかじめ設定し、ピックアップのポイントも入れておくと指定のタクシーが来て、それに乗り、着いたら支払いまで完了しているというサービスである。
これが実現して、日常的に利用されるようになれば、日本でのタクシーの利用方法も様変わりすると思われる。
ヤフー、ソフトバンクグループが総力をあげてサポート
この他にも、ヤフー、ソフトバンクのグループ企業との連携も期待されている。ヤフーショッピングやヤフオクなどのヤフーのサービスが直接PayPayアプリで使えるようになり、商品選びだけでなく、決済もより簡単に完了するようになる。また、PayPay残高の範囲で株式投資ができるようにもなるし、ヤフー子会社のジャパンネット銀行で個人ローン貸付も可能になる。要は生活にかかわるありとあらゆるサービスをPayPayアプリの中に入れてスーパーアプリ化していく予定なのだ。
加盟店負担を減らすためにスーパーアプリが貢献
このアプリ事業は経営的にも貢献すると期待されている。これまでPayPayは、決済手数料を加盟店からもらわずにやってきた。その際の収益をどこに求めるかというのがいつも問題になっていたが、このアプリビジネスが本格化すれば、顧客を送客した際の手数料や購買データの提供などで、ヤフーと連携してヤフー側の広告の精度を高めることができれば、そこで料金が発生する。これらの収益が確実に生まれるのであれば、今後も加盟店手数料がなくてもPayPay事業は継続できるからアプリのビジネスに期待が集まるのである。PayPayだけでマネタイズできるのであれば、何の心配もない。スーパーアプリ事業は、インドでは決済事業のPaytm、東南アジアでは、配車サービスのゴジェック、グラブなどが採用し、それぞれが急成長を遂げている。日本ではまず、PayPayがこの構想を取り入れ、他のスマホ事業者も同様のことを考えていくのではないだろうか。
そう考えていくと、キャッシュレス時代はポイントからアプリへと軸が大きくぶれる時期になりそうである。そして、暮らしに根ざしたアプリの囲い込みが業者間で熾烈になると思われる。
岩田 昭男
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