岩田昭男の「お悩みをスッキリ解決!」<4>。「Visa? Mastercard?」クレカデビューはどっちを選ぶ?
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「お悩みをスッキリ解決!」は、その道の専門家「岩田昭男」がキャッシュレスに関するお悩みにズバリお答えするコーナーです。
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【質問】「Visa? Mastercard?」 最初のクレカはどのブランドを選ぶ?
【回答】「初めての人にはVisaがいいと思います」(岩田)
最初に手にするクレジットカードのブランドは使いやすさを考え、使える店舗が多いVisa、Mastercard®がおすすめです。このうち一つを選ぶなら、現在、日本国内でタッチ決済の普及を進めているVisaがいいでしょう。
国際ブランドは決済ネットワークを提供する会社
クレジットカード利用をするうえで、Visa、Mastercardがどんな役割を担っているのか補足します。Visa、Mastercard、さらにAmerican Express®、Diners Club、JCBは国際ブランドと呼ばれ、世界規模の決済ネットワークを使った“デジタル決済サービス”を提供しています。
カード発行会社はこうした国際ブランドからライセンスを得て、国際ブランド付きのカードを発行し、利用者が世界中でカード使って支払いができるようにしています。
ちなみにVisaの名前はVISA(査証)にちなんだもの。外国に自由に出入りできる査証のように、どこでも支払いが出来るようにという意味が込められています。
とはいえ、国際ブランドはそれぞれの加盟店でしか利用できません。クレジットカードを保有するなら多くの加盟店をもつブランド付きが有利。その点で優れているのはVisa、Mastercardです。
この二社は、自社カードの発行は行わず、ブランドを使った決済サービスに注力しており、高い競争力を誇ります。
残るJCB、American Express、Diners Clubは、決済サービスに加え、自社カードも発行するハイブリッドなブランド。エンタメ、グルメといった分野で独自性の高い付帯サービスを提供しています。
こんな背景もあり、加盟店数はVisa、Mastercardが約1億ヵ所と最多です。
■加盟店数
Visa | Mastercard | American Express | Diners Club | JCB |
1億ヵ所 | 1億ヵ所 | 8000万ヵ所 | 5100万か所 | 4100万か所 |
加盟店数だけでは、どれぐらい使われているのかビジネス規模がわかりづらいので、それぞれのショッピング取扱高を比較してみます。
■2022年 クレジットカードショッピング取扱高
($ trillions)
Visa | Mastercard | American Express | Discover* | JCB |
5.8T | 2.4T | 1.0T | 0.2T | NA |
*Diners Club International分を含む
クレジットカードのショッピング取扱高は、Visaが5.8兆米ドル、Mastercardが2.4兆米ドルと群を抜く高さ。日本の国家予算より大きい額です。さらにVisa、Mastercardはデビットカードの取扱高もクレジットと同程度あり、それを加算するとボリュームはこの倍に膨れ上がります。
Mastercardはヨーロッパ、Visaはアメリカに強いって本当?
世界におけるブランドごとの規模感が分かったと思いますが、次は地域ごとに比較したいとおもいます。よく言われるのが「Mastercardはヨーロッパに強く、Visaはアメリカに強い」。果たして、ブランドごとに強い地域は存在するのでしょうか。本当にヨーロッパはMastercardが支配しているのでしょうか?
2022年のデータを使って、地域別の取扱高と取引件数を比較してみます。
■エリア別、年間取扱高と取引件数(クレジット+デビットカード)
($ billions)
Visa (@2022/12/31) |
Mastercard (@2022/9/30) |
|||
取扱高 | 取引件数 | 取扱高 | 取引件数 | |
アジア太平洋地域 | 2,045 | 38,768 | 1,596 | 36,130 |
カナダ | 374 | 5,213 | 237 | 3,533 |
中欧・中東・アフリカ地域 | 648 | 23,012 | - | - |
ラテンアメリカ | 667 | 26,035 | 433 | 19,056 |
アメリカ | 5,700 | 90,371 | 2,441 | 37,305 |
ヨーロッパ | 2,172 | 57,411 | 1,864 | 53,992 |
合計 | 11,607 | 240,809 | 6,571 | 150,016 |
これをみる限り、“Visa強し”。Visaが全地域でよく使われていることが見て取れます。
たしかにヨーロッパにおいてはアメリカほどのシェアはありませんが、取引高も取引件数もMastercardを上回っています。
ただ、一部の地域やサービスでMastercardが有利になることがあるのかもしれません。
まとめ
データを見ると世界中でVisaがよく使われていることが分かります。初めて手にするクレジットカードであれば、Visaが無難なチョイスといえるでしょう。Visaは、現在、日本でのクレジットカードのタッチ決済(Visaのタッチ決済)普及に向け、利用店舗の拡大、公共交通機関の乗車実証実験など、さまざまな施策を行っています。新しい買い物体験、乗車体験をしたい人にもふさわしいブランドです。
とはいえ、世界中にはMastercardは使えるけどVisaが使えない、日本におけるCostco(コストコ)のようなところもあります。リスク分散という意味合いも込めて、2枚目をつくるときは1枚目と異なるブランドを選ぶとより安心です。
監修:消費生活ジャーナリスト 岩田昭男