セブン-イレブンとJCBが急接近!Oki Dokiポイントとnanacoポイントが合体か?
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いよいよ表に出てきたセブン-イレブンとJCB連合の新戦略。Oki Dokiポイントとnanacoポイントの合体を狙うのか?
リクルートカードプラスのポイント改悪でカードユーザーはパニックに!
クレジットカード業界の最近の大きなニュースといえば、リクルートカードプラスのnanacoチャージでポイントがつかなくなることです。リクルートカードの正式発表によると、2016年9月16日(金)から、リクルートカードプラスのnanaco へのチャージ分については、ポイント付与の対象外になるということです(新規募集は2016年3月17日に中止になっています)。
2016年9月16日(金)より、電子マネー「nanaco」、「モバイルSuica」へのチャージ分については、ポイント加算の対象外となります。
これまで1万円のチャージで200円分のポイントがつきましたが、9月16日からはこれがゼロになってしまうのです。そのためnanacoチャージ用にこのカードを使っていた人たちがパニックに陥っているのです。
nanacoはセブン-イレブンで使える電子マネーとして人気があります。これまで、nanacoにチャージしてポイントが貯まるというカードは隠れた人気がありました。たとえばジャックスの漢方スタイルカードは1.5%という高い還元率で、カードユーザーの間では話題になっていました。そういうおトクなカードがほかにもいくつかあって、リクルートカードプラスもそのひとつで、ポイント還元率は2%を誇っていました。
ところが、昨年の後半から漢方スタイルカードをはじめとする高還元率カードが軒並み還元率を落とし、nanacoチャージのポイントは漢方スタイルカードで零点数パーセントに落ち込みました。行き場を失ったカードユーザーたちが駆け込んだのが、まだ高い還元率を維持していたリクルートカードプラスだったのです。いわば〝還元率難民〟ともいうべき人々がそこで一息ついていたのですが、いよいよそこも狙い撃ちにあって、高いポイントが得られなくなってしまったのです。
リクルートカードプラスはすでに新規募集は中止していますが、なぜこういうことが起きたのかを考えてみると、nanacoと共通ポイントPonta(ポンタ)との関係が、その理由になっているようです。
セブン-イレブンが共通ポイント化を焦る理由
というのも、リクルートポイントがPontaに統合されることになり、今後、リクルートカードのポイントがすべてPontaに代わっていきます。つまり、リクルートにしてみればこれから手持ちのポイントがどんどん外に出て行き、その費用が嵩むのは目に見えているために高還元率を維持できなくなってしまったのです。
一方、セブンとしても、たくさんのカード会社がnanacoにチャージしてくれるのはありがたいのですが、リクルートのようにチャージでたまるポイントが次々にローソンで使えるPontaに代わるようでは黙っていられないのも当然でしょう。「敵に塩を贈る」ようなものだからです。そのために、チャージでポイントを付けるならセブンカードプラスのような身内のカードを使うようにしようと考えるようになったのでしょう。それで、外部のカードの締めつけにでてきた、そういう構図ではないかと私は見ています。
そして〝還元率難民〟が追い込まれて、とうとう行くところがなくなってしまったのですが、これは望む所ではないとnanacoもセブン-イレブンも考えています。そういう人々をなんとか助け出さなければならない。なんといってもnanacoのファンなのですから。
セブン-イレブンが打ち出したJCB優遇策
そこで考えたのが、セブン-イレブンと非常に関係の深い盟友、JCBとのコラボです。JCBはアイワイカードの頃からの付き合いで、セブン-イレブンのカード関係の仕事を裏で仕切っています。そのJCBに少しアドバンテージを与えたいということで、ほかのカード会社とは距離を置くようになったのです。
では、セブン-イレブンとJCBはどのようなコラボを行うのでしょうか。具体的にいうと、2つの点で優遇することになります。ひとつは、セブン-イレブンでJCBのオリジナルシリーズカードを使って買い物をすると、JCBのOki Dokiポイントが通常の3倍つくようになることです。千円の買い物で1ポイントつくところが3ポイントつくのですから、これはおトクです。もうひとつは、これまでOki Dokiポイント1ポイントを5nanacoポイントに交換できたのですが、キャンペーン期間中は6nanacoポイントに交換できるようにするのです(このキャンペーンは期間限定でなく常態化する可能性が高いといいます)。
このように、セブン-イレブンおよびnanacoの利用者にとって非常に使い勝手のよいカードとしてJCBカードは位置づけられて、セブンはそれをバックアップしていこうとしています。
3月初旬にリクルートカードプラスがnanacoとの関係を見直すという発表をおこないましたが、それを待っていたかのように、セブン-イレブンはJCB優遇の姿勢をはっきりと示したわけですから、リクルートからJCBへの転換を内外に宣言したのも同然です。
nanacoの共通ポイント化でローソンに対抗
こうした経過を見ていくとセブン-イレブンの意思というか大きな戦略が読み取れます。この時期にセブン-イレブンがこうした行動に出た背景には、もうひとつの大きな理由があるように思います。その理由とは、共通ポイントでローソンに対抗するためです。
共通ポイントは現在のカード業界のキーワードです。ローソンは、Pontaとdポイントの二つを抱え、ユーザーにとっての利便性を高めています。今後サークルケーサンクスを失った楽天もローソンに加わるという見方もあります。そうなると、ローソンは、ポンタポイントにdポイント、さらには楽天スーパーポイントも手に入れることになります(これは脅威です)。それに対して、セブン-イレブンはnanacoだけです。
nanacoは使える店がセブン-イレブンのグループにほぼ限定されていて、この点で業種を超えてたくさんの店で使えるTポイントやPontaなどの他の共通ポイントだけでなく、Suica(スイカ)など他の電子マネーに比べても見劣りがします。それを打破するために、国際ブランドのひとつであるJCBの助けを借りて彼らがもつ国内の幅広いネットワークを活用して、ポイントをためて、それを有利にnanacoポイントと交換して、セブン-イレブンで使ってもらおうという戦法を編み出したのです。セブン-イレブンとJCBにすれば、セブン-イレブンという日本一のコンビニの力と日本発の国際ブランドJCBの力とを合わせれば、他のコンビニ・ポイント陣営を十分に凌げるとみているのでしょう。いよいよ、ポイント戦争の雌雄を決する戦いがこれから始まろうとしています。一瞬たりとも目の離せない状況になってきました。
ここでひとつnanacoの知られざる一面を紹介しておきましょう。nanacoはグループ内のポイントカードとみられがちですが、じつはすでに全国区で展開する共通ポイント的な動きもみせています。最近はビックカメラでためて使えるようになりましたし、価格破壊の酒類問屋のカクヤスでも使えます。まだ数は少ないですが、全国の街の居酒屋やクリーニング店などの一般商店でも使うことができます。このnanaco加盟店は、すべてはホームページに記載されています。
全国制覇をほぼ完了して、いよいよ共通ポイント化に踏み切ったnanaco
昨年、セブン-イレブンはスタバと共に未進出だった鳥取県に初めて出店しましたが、じつはセブン-イレブンが出てくる前からnanacoが使える店が結構あったのです。一昨年に私は講演で鳥取県米子市に行った時に、偶然駅前の居酒屋でセブン-イレブンがないにもかかわらずnanacoが使えたのでびっくりした経験があります。今考えるとセブン-イレブンが出店するための準備だったようです。
セブン-イレブンはJR西日本と提携しており、米子駅の構内にキオスクとして、まず出店しました。それと同時に米子市内にも3店舗出店しています。輸送に鉄道が使えることが駅に出店するきっかけになったといわれています。もちろん輸送にはトラックも使っており、広島に中四国の拠点があることも米子に出店が集中した理由かもしれません。
これからJCBカードでためたポイントをnanacoに交換して使う消費者がどんどん増えてくれば、結果としてnanacoが共通ポイントに近づくということになります。
「がんばれnanaco!」とエールを送っておきましょう。
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