岩田昭男の上級カード道場〜ポイント経済圏、プレミアムカード、カード上級サイト〜

2013年4月26日 O2O/スマホ

スマホで買い物が変わる (2)/岩田昭男

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 前回では、スマートフォンの登場によって消費者行動が変化していることを述べた。これは同時に、事業者のマーケティングの手法も変わっていくことを意味する。

■「端末基点マーケティング」の時代
 簡単に言ってしまえば、これまでのマスメディアを中心とした従来型のマーケティングから、個々のライフスタイル・嗜好に合わせてピンポイントな情報を送るマーケティングに力が注がれることになるだろう。何といってもスマートフォンは24時間、人々の手元にあるメディア。有効な情報であれば、その人の気持ちに直接深く突き刺さる。事業者はスマートフォンを介してユーザーと接点をもつことで、人々の購買意欲を高めるように直接働きかけることができる。すべてをスマートフォンという端末を基点に考えるので、この方法を私は「端末基点マーケティング」と呼んでいる。

■「決済前/決済後」という時間の流れをつかむ
 スマートフォンは、電子マネーをはじめ、ポイントカード、クーポン、プリペイドカードなどを簡単に搭載することができる。また多彩なアプリケーションをダウンロードして連携することで、数々のサービスが実現できる。指先で簡単に操作できるアプリは、これまでにないアイテムといえる。
 すでに位置情報(GPS)アプリケーションへの期待は高まっているが、私が注目しているのはシミュレーション機能だ。この機能により、リボルビング払いの金利やポイントを計算するといった使い方が可能になる。これらのジャンルから火がつくだろう。
 そして、スマートフォンを効果的に使う場合に忘れてならないのは、決済時点を常に考えることだ。つまり、「決済前」「決済後」という時間の流れの中で、企業はメールやクーポン、ポイント、ゲームなど様々な「お得」「お楽しみ」を仕掛けて顧客を囲い込み、リピートにつなげていく。この視点を肝に銘じておくことが必要だ。
 
 すでに様々な事例が登場しているが、それを「決済前」と「決済後」に分けて考えていこう。

■「決済前」のユーザーの欲望を満たすサービス
 まずユーザーがスマートフォンで買い物をしようとしたときに感じるのは、「他店の価格と比較してみたい」という衝動だ。スマートフォンなら比較サイトを手の中で確認できるから、店に行く途中に電車の中でチェックできる。

いつでもどこでもほしい商品の価格比較ができる

いつでもどこでもほしい商品の価格比較ができる


<「決済前」の事例>
●スーパーで商品に付けられたバーコードをスマホのカメラで取り込むと、自動的に他店の価格と比較した最安値が出る
●電子チラシサイト「Shufoo!」でチラシを閲覧するだけで、Tポイントが貯まる
●店頭に貼られたステッカーやポスターにスマホをかざすだけで、その店のポイントやクーポン、キャンペーン情報などを知ることができる
●GPS機能を利用することで、初めて訪れた街でも、どの店でクーポンが使えるのか、どんなキャンペーンをやっているのか簡単に知ることができる
●シミュレーション機能を使って支払いの前にリボルビング払いの金利やポイントを計算することができ、有利なものを選べる
●フェイスブック(米国)ではポイント優遇を実施。「いいね!」したサイトで買い物をするとポイントが優遇されたり割引になったりする

 このようにスマホを「決済前」のサービスとして使う例は増えている。もちろん利用者のニーズも大きく変化し、スマホで決済するからには「必ずお得がついてくる」という意識がいま以上に強くなるだろう。店やカード会社はその「強欲」に付き合わされるが、生き残るためには、通らねばならぬ関門であり、その結果、ポイント、クーポン、割引き競争はさらに熾烈になる。

■「決済後」のフォローでリピーターを養成
 その一方で、「決済後」のサービスもいろいろ出てきた。決済後のフォローが、リピーターを獲得するためには重要になってくる。何をどうアピールするかが課題だ。そのひとつとして、「くじ」や「スロット」の抽選で景品が当たるといったおまけサービスがあって、こちらも人気になっている。
“楽しい”ことも、顧客満足度の向上には欠かせない

“楽しい”ことも、顧客満足度の向上には欠かせない


<「決済後」の事例>
●ローソンはドコモと組んでトルカくじを実施した。一定金額の買い物をすると、トルカくじを1回引く。当たる確率がかなり高いのでリピーターが増えている。「スマホのイベントを成功させるには、よく当たるようにするのがコツ」(ドコモ)という。小さなお得をたくさん提供することで、多くの利用者を得て、リピートを望めるようになるのだ。
●カード会社によっては決済後に利用控えをメールで送っている。
※ちなみに韓国では、それを家計簿代わりに使うようになっているというが、日本でもスマホ決済が増えれば、同様の傾向がでてくるだろう。
●さらに、ありがとうメールをだして感謝の言葉を伝えるとともに、使いすぎていた場合に、すぐにリボ払いに変えるようにアナウンスしているところもある。
●Gポイントは、ためたポイントを交換する新しい仕組みを作ってスマホ対応にした。アイコンを指で移動し別のアイコンに重ねるだけで交換が完了する。

 このようにスマートフォン時代の決済まわりは、がらりと変わる。加盟店も銀行もカード会社も、決済時点・端末基点で考えないと追いつけなくなる。一方の利用者にとってはダイレクトにお得を訴求できるようになるので、さらにポイント、クーポンの知識を求められるようになる。
 知っていれば得をするが、知らないと大損するという時代がやってきた。スマホで始まる決済革命に勝利するために、各社は熾烈な争いを繰り広げている。

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