アンドロイドペイがはじまり、スマホ決済全開へ!楽天の動きを中心にリポート!
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更新日:2020年6月25日
(公開日:2017年1月6日)
アップルペイが2016年10月25日にはじまってからカード業界は騒然としています。アップルから全く情報がでてこないので、詳しいことはわかりませんが、そうなると、余計に気になります。
「アップルペイとは何か」からはじまって、「なぜフェリカを入れたのか」、「対応しているカードはどれか」といったことが最も重要な情報になっています。また、「VISAブランドが使えない」とか「ビューカードはアップルペイに入れるのが難しい」といった色々な噂が飛び交って利用する側も何をどうしてよいかわからないというのが現状でしょう。
楽天Edyをフューチャー!アンドロイドペイが本格始動
その一方で、「ライバルのアンドロイドペイはどうしているのか」といったことが気になり始めました。グーグルならもっとオープンで親切な対応をしてくれるだろうと期待する人も多いのですが、そのグーグルが2016年12月13日からアンドロイドペイの本格サービスをはじめました。リリースをみて私は驚きました。こちらもフェリカを採用していたのです。アップルが採用したスイカに対抗するために、楽天Edyをフューチャーしたことにもびっくりしました。
楽天Edyといえば、日本で最初のフェリカ型電子マネーであり、発行枚数1億90万枚、加盟店47万2000店(2016年12月1日時点)という日本で規模の一番大きな電子マネーです。アンドロイドはそれを押し立てて日本市場に参入したのです。
その結果、アップルペイとアンドロイドペイという二大スマホ事業者がともにフェリカ方式を採用することになりました。アップルが東の横綱のスイカをとったのに対して、アンドロイドは、西の横綱の楽天Edyをとったわけです。楽天にとってこれは千載一遇のチャンスでしょう。楽天カードはすでにアップルペイに入っています。そして、今度は楽天Edyがアンドロイドペイに入り、その主役になりそうだというのですから、楽天の決済サービスへの期待は膨らみます。
自社開発のソフトウェア「SDK」で今後をにらむ
ここで楽天が製作したのが、SDK(ソフトウエア・デベロップメント・キット)というソフトです。これはおサイフケータイの楽天Edyアプリの一部機能を切り出したもので、それをアンドロイドペイに入れました。このSDKは、他のアプリにも対応することができ、提供機能のカスタマイズも可能なため、楽天Edy決済のチャンスをさまざまな分野に広げることができるソフトと期待しているそうです。楽天Edyの使い方には、二つのパターンがあります。すでにおサイフケータイで楽天Edyアプリをダウンロードしている人は、そのままアンドロイドペイでも利用できます。一方、今回初めてという人は、簡単な手続きでスマホ内で新しい楽天Edyを設定して使うことができます。楽天としては、後者の新規顧客をより多く取り込みたいと考えているようです。
また、アンドロイドペイには、楽天の共通ポイントサービスである楽天ポイントカードが対応しているのも見逃せません。登録したバーコードを使って、楽天スーパーポイントをためたり、使ったりすることが出来ます。
これで楽天Edyと楽天ポイントカードの二つがアンドロイドペイで使えるようになったわけで、楽天ペイも含めて、楽天の決済周りのサービスはぐんと充実したといえます。
アンドロイドペイの今後
一方、アンドロイドを主宰するグーグルは、まず日本で使えるように楽天Edyを入れましたが、今後の戦略は不明です。SNSでは「アンドロイドペイに楽天Edyが入るだけなら、おサイフケータイと変わらない。機能ではおサイフケータイのほうが勝る」という意見が多くあります。ただ、私の個人的な感想では、アンドロイドペイにはきちんとした戦略があり、その最初が楽天Edyで、今後はクレジットカードなどと連携して発展していくから、ますます魅力的になるだろうという見立てです。たとえば、アップルがスイカを使ってビジネスマンを囲い込もうとしているのに対して、アンドロイドペイでは楽天Edyで買い物好きな女性、主婦層の取り込みを図るのではないかということです。そこからいくと今後はナナコ、ワオンの流通系電子マネーを入れてアップルに対抗してくるといった戦略がみえてきます。女性マーケットに強いペイサービスとして位置づけば勝機はあるでしょう。一方、クレジットカードについては、まだ対応できていません。グーグルと手を組むVISAは非接触ICタイプA、Bにこだわっていて、こちらで展開したいようです。しかし、この規格は、国内では、まだ展開していないので難しいのが現状です。三菱UFJ銀行のVISAデビットカードが秋に対応に名乗りをあげていますが、何をどう使って実用化させるか全く不明です(フライングだったようです)。こちらもグーグルがどう考えているかで決まるでしょう。
ただ、タイプA、Bの端末普及を待つことができないというなら、ウルトラCがあります。それは、最近までニコスが手がけていたポストペイサービスの「VISAタッチ」(フェリカ仕様)をひっぱりだすことです。「VISAタッチ」はアップルペイのiDとQPに相当するものですが、利用が伸びないために、サービスが中止になったものです。これを再稼働させて、そのインフラを使いクレジットカードの扱いを始めることはできます。しかし、一旦やめたものを再開するには時間がかかります。それに、何から何までアップルを真似するのはいかがなものでしょうか。2020年の東京オリンピックまで3年となりました。3年といえば短期間ですから、その間に、新端末の設置を進めれば十分に間に合います。
ですから、これからの注目点は、2020年までにタイプA、Bの端末が全国の店にどれだけ設置されて、どれだけ使われるようになるか、です。
グーグルがもっとも恐れているのは、アップルペイの人気が沸騰して、タイプA、Bの端末の設置、切り替えを加盟店が嫌がり、フェリカ仕様でよいという雰囲気がでてくることです。それを和らげるためにも、楽天Edyを入れて対応したということでしょう。まず、フェリカに対応しないと日本市場は攻略できないと見切ったということです。ともかく対応をしておいて、クレジットカード用として、タイプA、Bも入れてもらおうという戦略だと思います。
いずれにしろ、これから、アップル・スイカ連合とグーグルとの長い戦いがはじまるのです。それはカード、スマホ業界の盟主を決める戦いであり、厳しいものになると思います。
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