「楽天コイン」登場の意味
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「これは通貨ではないし決済ツールとはいわない」
半年くらい前から「電子マネーの次は仮想通貨だ」と盛んにいわれるようになり、いろいろなメディアから取材依頼がありました。しかし、仮想通貨は通貨といいながら誰も買い物に使わないので、その都度、「これでは通貨ではないし、決済ツールとはいわない」と答えてきました。そのうち、仮想通貨はいくら上がったというお金の話ばかりが聞こえてきて、投機商品というその正体がわかりましたから、仮想通貨は通貨ではなく資産だから私の専門外だ」と取材を断ることにしたのです。
通貨なら私の守備範囲ですが、資産となれば話は別で、自分のいったことに責任をとれないからです。
投機の対象となっているからモノであり、資産である
決済に使われずに投機の対象になっているのだから、資産というしかありません。通貨と名付けておまけにブロック・チェーンという高邁な技術が使われているから何かたいそうなものに思えるのですが、現状は単なる資産として投資家が保有しているに過ぎません。資産の1つと考えればビットコインがなぜあんな高値で取引されるのか不思議になってきますし、通貨ではないとわかれば、高値をつける理由がなくなるのですから、そのうち投資家の熱も冷めるだろうと思っていました。
10分間でコインの価値が乱高下する
そうこうする間にコインチェックの事件が起こり、仮想通貨業界のずさんな内情が暴露されてしまいました。仮想通貨といっても、送金処理が遅くて価格変動が大きすぎるため実際の通貨としては使えそうにありません。
クレジットカードで仮想通貨を買おうとしても、10分後には大きく値段が下がっていたり上がっていたりするのでカード会社もまともに扱うことはしない方針といいます。それも当然でしょう。
ですから、このままいくとマネーロンダリングや、違法取引、ICO詐欺などに利用される危ない〝通貨もどき〟で終わる運命のようにも思えます。
成長戦略を実現するために規制が甘くなった
これには金融庁に大きな責任があるといえます。「ネットで互いが監視しているから安全性が高い」というふれこみでしたが、蓋を開けたら業者のチェックもできていなかったというお粗末さでした。そもそも金融庁には仮想通貨運営を指導できるスペシャリストが不在だったともいわれています。
そして何よりも、政府の成長戦略にとって欠かせないフィンテックにとって仮想通貨を育てることが重要だったということです。そのために、規制よりも育成に重点が置かれたことは否めないでしょう。
一度仕切り直しをした方がよい
仮想通貨の取引所にも問題があるようです。取引所は客の注文を見ながら自分でも取引して大儲けしているといわれます。取引所自身のインサイダーが規制されていないのですから何をかいわんやです(こうした問題点の解決のために、新たに業界団体が設立されて自主規制を始めるようです。遅すぎましたがやらないよりはましでしょう)。仮想通貨は大いなる可能性を秘めています。私も本当の意味でのキャッシュレス革命のために必要なものだと考えています。いまの投機熱が冷めれば本来の仮想通貨として働き出すのではないかと期待もしています。
そのためにも、ここは一度仕切り直ししたほうがよいのではないでしょうか。
楽天コインの登場
以上は、あるメルマガに書いた文章でしたが、この混沌に一筋の光明がさしたのが、2018年2月27日でした。この日に楽天の三木谷浩史会長兼社長がスペイン・バルセロナで記者会見を開いて自らも「楽天コイン」の発行を始めると発表しました。
すでに普及している楽天スーパーポイントとブロック・チェーンを組み合わせて、海外でも国内と同じようにポイントサービスを実施し、付加価値の高いメンバーシッププログラムを展開できるようにする戦略です。
企業通貨をうまく使う
ある意味「楽天コイン」は企業通貨ですから、楽天経済圏内で循環するようになれば、決済ツールとしても位置付くことでしょう。そうなれば、他の仮想通貨のように投機の対象になることもないのです。私はアップルやグーグル、それにアマゾンなどの大手IT企業が先に始めるとみていましたから、楽天が抜いたのには驚きました。
しかし、考えてみれば、楽天スーパーポイントという資産がすでにあったからこそ可能になった新事業といえます。これによって、今後は共通ポイントへの関心が高まるでしょう。仮想通貨は新しいステージに向かいだしたようです。
岩田昭男
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