岩田昭男の上級カード道場〜ポイント経済圏、プレミアムカード、カード上級サイト〜

5 大ポイント経済圏。各陣営の動向、そして今後注目のポイントは?

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自社サービスの利用で独自ポイントを発行し、そのポイントで再び自社サービスを利用してもらう――。多くの企業が、こうしたポイントの循環を形成したいと考えています。

中でも巨大なのが、グループ内で経済圏を築き上げている「楽天」「NTTドコモ」「PayPay」「au」「SMBC(三井住友銀行グループ)」といった陣営です。

■5大ポイント経済圏


こうした経済圏は、ECサイトや提携店舗での買物にとどまらず、通信や金融サービスを巻き込んだ巨大なネットワークを形成し、勢力を拡大しています。


2024年に新NISAをきっかけに投資を始める人が増えると予測されています。

今後、どんなカテゴリーに注目なのか、どういったポイントが大きく“化け”そうなのか探ってみたいと思います。

5大ポイントと提供サービス

ポイント経済圏が提供するサービスをカテゴライズすると、「決済」「ネットショッピング」「金融」「通信」に分けられます。

各陣営の特徴として、決済、ネットショッピング、金融サービスに強いのは「楽天」、通信に強いのは「NTTドコモ」「au」、決済、通信に強いのは「PayPay」、決済、金融サービスに強いのは「SMBC」といった感じです。
楽天 NTT ドコモ PayPay au SMBC
ポイント 楽天ポイント dポイント PayPay
ポイント
Pontaポイント Vポイント
決済 楽天カード dカード  PayPay
カード
 au PAY
カード
 三井住友カード
楽天ペイ  d払い  PayPay  au PAY  ―
金融 楽天銀行  ―  PayPay銀行  auじぶん銀行  三井住友銀行
 楽天証券
★みずほ証券
と新会社/
2024年春予定
★2024年1月より「ドコモマネックスホールディングス株式会社」  PayPay証券  au カブコム
証券
 SBI証券
★ただし、グループ会社ではない
通信 楽天モバイル  NTT ドコモ  ソフトバンク  au  ―
ECサイト  楽天市場  dショッピング  Yahoo!
ショッピング
 au PAY
マーケット
 ポイントUP モール
楽天トラベル  Yahoo!
トラベル
 ―
このカテゴリーで、最近、目立った動きがあるのは金融サービスです。

2023年3月には、SMBCが「クレジット」「デビット」「ポイント」の支払いを集約したアプリ「Olive」を開始。SBI証券と連係して証券口座の開設、取引に応じてポイントの付与やカード還元率アップなどの優遇サービスを行っています。

同年9月には、auが新しいスマホ料金プランの利用で、クレカ積立のポイント還元率がアップする「auマネ活プラン」を発表。通信と金融を掛け合わせたユニークなサービスを展開しています。

また、しばらく金融サービスから遠のいていたNTTドコモが、2024年1月にマネックス証券を子会社化すると発表。投資によるdポイントの付与など、新しいサービス展開が期待されています。

さらに、楽天証券が、みずほ証券と2024年4月に新会社を設立することを発表。ネット証券のユーザーに対し、対面で資産運用の相談を行うサービスを開始します。

この時期に相次いで金融サービスの拡大を図っているのは、来年の新NISAをにらんでのことです。各陣営の金融サービスには要注目です。

ポイントの利用状況

ポイントの利用状況はどうなのでしょう。各ポイントの会員数、発行ポイント数を確認してみました。

ポイントの会員数は、楽天ポイントとPontaポイントが1億人超、dポイントが約9500万人、PayPayポイントが約5700万人、Vポイントが8600万人。汎用性の高い共通ポイントは広く行き渡っている様子がうかがえます。

ポイントの年間発行数については、楽天ポイントは6200億、PayPayポイントが6000億ポイント。dポイントは利用ベースで約3400億ポイントですが、未使用率を考えると発行数は5000億ポイントに届くかもしれません。

これを見ると最も普及しているのは楽天ポイントです。ただ、侮れないのはPayPayポイントの存在。サービス開始後4年半で6000億に達したので、今まさに勢いに乗っているポイントと言えるでしょう。

■ポイント会員数とポイント発行数
楽天ポイント dポイント PayPay
ポイント
Pontaポイント Vポイント
ポイント
会員数
 1億人超  9480
万人
 5664
万人
 1億
1378 万人
 8600
万人
※日本経済新聞報道より
ポイント
発行数
 6200億  3395億
※利用ポイント
 6000億  非公開  非公開
利用可能店舗数 約500 万ヵ所※2022 年7 月 約10 万ヵ所※2023 年3 月末 約366 万ヵ所※2022 年4 月 約28 万ヵ所※2023 年3 月末 VISA
加盟店
出所:特に記載がないものについては、楽天は2022 年12 月、NTT ドコモは2023 年3 月、PayPay は2023 年3 月、au は2023 年3 月、SMBC は2023 年3 月の決算資料から

街で人気のポイントは?

街ではどんなポイントが利用されているのか、MyVoiceが行った調査を基に検証してみたいと思います。

「直近1年間に利用した共通ポイントサービス」については、1位は楽天ポイントで73%。その後、Tポイント63%、Pontaポイント50%と続きます。

多くのポイントを発行しているPayPayポイントは、ここではランクインしていませんが、会員数が楽天の半分程度であることを考えると、一定のヘビーユーザーに指示されているポイントと言えそうです。ただ、今後、LINEポイントとのID統合も予定されており、ポイント利用は自ずと増えていくでしょう。

ちなみに2位のTポイントは、2024年4月にSMBCのVポイントに統合されます。来年以降は、Vポイントがランキングの上位に上がってくるでしょう。

■利用するポイントサービス


【調査方法】インターネット調査 【調査対象】MyVoiceのアンケートモニター
【調査時期】2023年6月1日~6月5日 【回答者数】9,682名

さて、ポイントはどんな場所で使われているのでしょうか。

1位スーパーマーケット、2位ドラッグストア、3位コンビニエンスストア、という結果になっています。

ポイントの利用シーン


【調査方法】インターネット調査 【調査対象】MyVoiceのアンケートモニター
【調査時期】2023年6月1日~6月5日 【回答者数】9,682名

証券会社、銀行などはランク外ですが、各陣営はネット証券との結びつきを強化し、来年以降の新NISA対応に万全を期しています。こうした金融サービスが、今後、ポイント経済圏に及ぼす影響はどれぐらいあるのか、ポイントと投資の関係も気になるところです。

続いて、「インタネット取引をしたことがある証券会社はどこですか?」については、1位がSBI証券、2位が楽天証券、4位がマネックス証券、8位がauカブコム証券でした。ポイント経済圏と連携しているネット証券は多くあるので、投資を基点にポイント経済圏を選ぶという逆引きの利用者も出てくるかもしれません。

ネットで利用する証券会社


【調査方法】インターネット調査 【調査対象】MyVoiceのアンケートモニター
【調査時期】2023年8月1日~8月5日 【回答者数】9,505名

今後の注目イベント

最後に、2024年に向けてどの陣営が勢力を拡大していくのでしょう。

注目は何と言ってもTポイントとVポイントの統合です。会員数は一気に8600万人に膨れ上がり、Vポイントの露出度は増すでしょう。見逃せないのは連係するのがSBI証券、と人気抜群のネット証券という点です。金融商品のラインナップは言うまでもなく、クレカ積立におけるポイントの付与率も申し分ありません。

あまりメジャーとは言えないVポイントではありますが、世界中にあるVISA加盟店(Visaのタッチ決済対応加盟店)での買い物ができるなど、使い勝手も良好。他の陣営が経済圏内の囲い込みに苦心するなかで、ポイントを開放するオープン戦略を貫いています。

このまま、VポイントとTポイントとの統合がスムーズに行われ、SBI証券との関係も崩れることなく続けば、人気ポイントとして急上昇する可能性は大いにあると思います。

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