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2016年7月4日 信用格差/クレジットヒストリー

マイナンバーカードは持つべきか?

マイナンバーカードの発行は1月10日から始まっているはずですが、周りの人でそれを持っていると言う人はあまり見ません。これはカード交付の遅延、システムトラブル等の不祥事が相次いでいるためで、高市早苗総務大臣など政府関係者も焦りが募っているようです。

しかし、それでもマイナンバーカードの普及は進むでしょう。e-Taxなどの税金の手続きや公的年金の手続き等で必須になるからです。来年にはマイナンバーカードに健康保険が紐付き、保険証がイコール、マイナンバーカードになる日が来ると言いますから、その時には皆が持たざるをえなくなりそうです。
しかしそうなった時でも果たしてこのカードは持つ価値があるのかどうか、それについてクレジットカードの視点から徹底的に考えてみましょう。

着々とすすむマイナンバーカードの「ワンカード」化


昨年末から世帯ごとに家族一人ひとりの個別のマイナンバーを記載した「通知カード」が郵送されています。希望すればICチップが入った顔写真付きのマイナンバーカード(個人番号カード)が交付され今年の1月から新たな制度としてスタートしています。
政府はマイナンバーカードを持つメリットを強調していますが、デメリットについても十分に考える必要があるでしょう。
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まず、これからの問題となる点をいくつかまとめてみました。
ひとつは、昨年の改正によってマイナンバーカードの利用範囲が大きく広がったことです。政府はマイナンバーカードのICチップの民間への開放を行い、キャッシュカードやポイントカードとの統合も進める考えです。18年からは利用者が同意すれば預金口座に紐づけされ、さらに運転免許証や健康保険証などとあわせて、マイナンバーをベースにした「ワンカード」化を計画しています。マイナンバーカードを一枚持てば、買い物から家計管理、資産づくりに健康増進まで管理できるようになるという、夢のようなプランです。

そのために、政府は、マイナンバーカードの普及枚数を18年度末には8700万枚にするという目標を立てており、20年の東京オリンピックでは、各競技場の入館チェックに利用するという案もでています。したがって今後の課題は、マイナンバーカードの普及であり、その前提になる「ワンカード」化です。

カードの集約が嫌いな日本人

私はクレジットカードの研究を30年間にわたって続けてきました。その中でカードの使い方や持ち方を指南してきましたが、結論からいうと、日本人は1枚のカードにすべてを集約するのは「嫌う」傾向にあり、一本化をすすめるのは難しいということです。

たとえば、銀行が発行するクレジットカードはキャッシュカードとの一体型がほとんどですが、これがなかなか普及しないのです。預金に直結するキャッシュカードがクレジットカードと一緒になると、落とした時にクレジットカードが不正利用されるだけでなく、キャッシュカードで預金を引き出されるリスクがあるといって敬遠するわけです。ましてやマイナンバーカードは、保険証や免許証まで搭載される予定なので個人情報のかたまりといってよいものです。それをクレジットカードとして毎日の買い物で取り出して使うということはあまりにリスクが大きすぎると言えるでしょう。

本来日本人は、大事なものはタンスにしまっておいて年に数回だけもちだして使うという活用法に親しんできました(実印など)。それと毎日買い物に使う電子マネーやクレジットカードという生活カード(サイフ)とを、はっきり分けて使ってきたものです。そういう考え方からすると、今回のワンカード化は、日本人の生来の性向を知らない人たちが編み出したアイデアとしかいえません。何でもひとつにまとめて効率化すれば、すべて解決するという短絡的な考えしかもてない人たちが作った仕組みといえるでしょう。

当然、ワンカード化が進みマイナンバーカードの利用の機会が増えれば個人番号の情報漏れや不正利用のリスクは高まります。そのため、個人番号の安全管理に不安を持っている国民は少なくありません。昨年夏に内閣府が行った調査結果によると、マイナンバー制度への懸念として、「個人情報の不正利用」と答えた人は38%、「個人情報の漏洩」は34.5%もいました。政府は、マイナンバーで結びつけた個人情報は異なる符号をつけてやりとりするため複数の機関の情報が芋づる式に漏れる可能性はないと説明していますが、国民の安全性に対する不安を払拭するのは簡単ではないといえます。

とうとう社会保障番号を利用しないように警告を発した

その不安がすでに米国では明らかになっています。
米国はマイナンバーの手本となった社会保障番号制度をいち早く導入した国ですが、06~08年の3年間に、1170万人もの米国人が年金や失業給付金の不正受給といった「なりすまし」被害に遭ったと言われています。そうした被害件数があまりに多いために、米国政府機関はできるだけ社会保障番号を利用しないように国民に警告を発する事態になっています。そして、社会保障番号システムを更新するなどの対策を講じざるをえなくなっています。
こうした状況を考えると、様々な場面で使うことが多いマイナンバーカードについては、とくに慎重に対応した方がよいといえます。

また、自らの個人情報(カードの利用履歴)を集めて利用されるのが嫌だという人、国に買い回り行動を握られて自由を抑圧されると感じる人は、マイナンバーカードの「ワンカード」化は拒否すればよいと思います。しかし、その次には、もっと深刻な問題が控えています。「クレジットスコア」という信用偏差値です。これが導入されると、マイナンバーとの連携で信用格差が拡大する恐れが指摘されています。

「クレジットスコア」先進国米国の教訓に学べ

クレジットスコアという個人の信用偏差値は毎日のクレジットカードの利用履歴を集計して、その人の信用力を弾き出すというものです。250~850点までの点数が付き、点数の高い人(プライム層)は信用力があるとされます。クレジットカードの限度額を高く設定してもらえますし、ローンの金利も低くしてもらえるのです。逆に点数の低い人(サブプライム層)は、カードの審査に落ちたり、ローンも高い金利でしか借りられません。

このクレジットスコアと社会保障番号は紐付いており、政府や民間企業はマーケティングや雇用の際に有効活用しています。実際、米国ではスコアは就職面接で使われますし、結婚でも参考にされます。数年前のリーマンショックもスコアの低い人たちに金融機関がサブプライムローン(簡単審査のお手軽融資)を作ってお金を貸しすぎたために起こったといわれるなど、やっかいな代物なのです。

日本にも導入されるか

ところが、米国の日本に対する対日要求報告書では、このクレジットスコアを導入せよと日本に迫っていますから、おそらく2018年のマイナンバーの民間利用解禁の時には、本格導入されるのではないかと考えられます。その前に、個人情報保護の対策を十分に考えないと、恐ろしいことになります。就職や結婚などの人生の節目はもちろん、お金絡みの事でこのスコアがでてくるようになり、社会的格差の拡大が懸念されます。

自衛のためには、まず個人カードの番号を誰にも見せないことが大切です。12桁の番号があなたのプライバシーのすべてなのですから、家族にも見せないようにしたいものです。

マイナンバーカードの普及はもう少し時間がかかりそうですが、2018年に備えて、マイナンバーの仕組みをよく知り、クレジットカードの上手な使い方についてもあらためて復習しておくことが大切です。

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