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2017年5月8日 アップルペイ

「Suicaが世界を制覇する」アップルが日本の技術を選んだ理由

私が『電子マネー戦争Suica 一人勝ちの秘密』(中経出版)を上梓したのが、今から12年前の2005年のことでした。当時のSuicaはまさに無敵の存在に見えましたが、その後の歩みは決して芳しいものではありませんでした。

ガラパゴスと呼ばれたSuicaの技術

Suicaで採用しているのは、ソニーが開発した「FeliCa(フェリカ)」という通信技術です。しかし、この技術は日本やアジアの一部でこそ利用されていますが、世界からみるとマイナーな規格なのです。欧米では「NFCタイプA/タイプB」というフェリカと異なる方式が主流で、国際ブランドのカードもこちらを採用しています。そのため世のグローバル化の進展の中で、近年は「日本でもNFCタイプA/タイプBが主流になる」という声が高まり、いつしかSuicaは、日本でしか通用しない「ガラパゴス」の象徴と揶揄されるようになっていました。

「Appleスペシャルイベント」で映し出されたペンギンの衝撃

そんな中、2016年9月7日(日本時間8日)にライブ配信された「Appleスペシャルイベント」を見ていた私を驚かせたのは、画面に映し出されたあのペンギンのイラストでした。サンフランシスコで開催されたこのイベントでは、新型スマートフォン「iPhone7」が発表されたほか、アップルのフィル・シラー上級副社長が、モバイル決済サービス「アップルペイ」を日本で開始すること、そのためにiPhoneをSuicaに対応させることを宣言したのです。私は「これは革命だ」と思いました。



今まで決済の主役はVISAなどの国際ブランドといわれる大手クレジットカード会社でしたが、それに代わりこれからはIT企業が台頭してくることが現実味を帯びたのです。

将来を言い当てたVISAインターナショナル会長

このことを24年前に予言した人がいます。それはVISAインターナショナルのチャールズ・T・ラッセル会長(当時)です。私は1993年VISAインターナショナルのチャールズ・T・ラッセル会長(当時)にインタビューする機会に恵まれ、VISAの将来について聞いたところラッセル会長はこう答えました。「我々のライバルは通信事業者であり、コンピュータ関連企業です」

正直私はまったくピンときませんでした。しかしあれから四半世紀を経て、ラッセル会長の予言は現実のものになりました。アップルの「アップルペイ」、グーグルの「アンドロイドペイ」、VISAの「payWave」が決済サービスの普及を図っています。いまや業界は「決済三国志」とも呼ぶべき熾烈な競争の中にあるといえます。そのキープレーヤーがアップルであることは、まぎれもない事実です。


Suicaは世界地図を塗り替えられるか?

そのアップルが新しいパートナーとして選んだのがSuicaでした。ガラパゴスで長く低迷していたSuicaが時代の変化によって、新しい国際標準規格として世界に認められることになったからです。その新Suicaを使ってアップルは世界共通乗車券という夢の実現に取り組もうとしています。

こうしてSuicaは、ようやく世界進出の第一歩を踏み出すことができました。これから出荷されるNFC搭載スマートフォンのグローバルモデルには、フェリカ実装が義務づけられる見通しです。世界共通の交通乗車カード/電子マネーとしてSuicaが使われる可能性は大いにあるでしょう。世界に「Suica経済圏」が確立される日も近いかもしれません。


さて、こういったSuicaの歩みや今後の展開、それを迎え撃つクレジットカード業界の動向などをまとめた書籍を2017年5月12日に上梓することになりました。タイトルは、「『Suicaが世界を制覇する』アップルが日本の技術を選んだ理由」(朝日新書)です。ご興味のある方は、一度お手に取ってご覧いただけると幸いです。

5月吉日
岩田昭男


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