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2019年2月22日 O2O/スマホ

「キャッシュレス覇権戦争」 岩田昭男(著)~生き残るキャッシュレス、消えるキャッシュレス!?

国をあげて推進するキャッシュレス決済。代表的なものといえば「クレジットカード」「電子マネー」、さらに最近注目の「QRコード決済」があげられるでしょう。これらは今後どうなっていくのでしょう? 今後のキャッシュレス勢力図について、岩田昭男が語ります。
(聞き手:本書担当編集・星野新一)

東京オリンピック目前!キャッシュレス化は進んでる?

——東京オリンピックまであと1年半ですね。日本政府はインバウンド消費の拡大による経済活発化をめざして、キャッシュレス化を強力に推進していますが、順調に進んでいるのでしょうか?


岩田:正直あんまり行き渡っている感じがしないよね。「Suica」や「楽天Edy」といったFeliCa方式の電子マネーに対応した店は、確かに増えてきている。けれどQRコード決済は、「ペイペイ」が派手にやっているように見えて、実際はまだまだ。とくに中国人が使う「アリペイ」「ウィーチャットペイ」は、ドン・キホーテやビックカメラ、それにマツキヨなどの爆買い客が多く訪れる量販店や、一部のコンビニがやっと対応したくらい。日本で不便なく使えますとは、とうてい言えない状況です。

——海外で普及しているVisaペイウェーブやMastercardコンタクトレスといった、NFC搭載のクレジットカードを使うタッチ決済はどうでしょう?

岩田:マクドナルドやローソンが導入しているんだけど、あんまり宣伝していないから、一般の人にはほとんど知られていないよね。僕だって、そういう店でもSuicaを使っちゃうし。

——いくらFeliCaが増えても、外国人観光客には使えないですよね。

岩田:そうだね。不便だろうね。

彼らだっていつもは、自分のカードをかざして電車に乗ったり、買い物したりしているわけですよ。日本でもそのまま同じことができると思って来るのに、いざ来たら「何にもできない!」ってことになっちゃうよね。

Visaのペイウェーブにしても、昔だったらVisa本体が「それ行けー!」って一気に攻勢をかけていたはずですよ。それが、最近なんだか煮え切らないよね。そこまでの力がもうないのかな?

——そうすると、今後はどういった支払い方法が主流になっていきますか?

岩田:なんだかんだいっても、中心はクレジットカードでしょう。普通の人は気づいていないかもしれないけれど、セキュリティを含め、いまでも進化を続けています。

——そういえば、最近はクレジットカードをお客さんから預からない店舗が増えてきた印象があります。この前東急ハンズで買い物したときのことですが、クレジットカードをいつものようにお店の人に渡そうとしたんです。そうしたら、「これに差し込んでください」って端末を示されて、自分でカードを差し込んで暗証番号を入力しました。セブン-イレブンもそうですね。10,000円以下だとサインレスなので、差し込んだら終わり。

これから、タッチ決済対応のクレジットカードも徐々に普及していくでしょうし、お店の側がカードを預かるという行為は格段に減りますね。

岩田:お店の人を疑うわけじゃないけど、スキミングの不安はなくなるよね。

今後クレジットカードはどんどん裏側に回っていくでしょう。もはや、プラスチックのカードという形を取る必要もないわけで、アップルペイやグーグルペイを使って、スマホで決済するのが増えていく。裏側ではアプリとクレカが紐付いてはいるんだけど。

カード会社にとっては痛し痒しなんじゃないですか。自分たちの名前が表に出なくなるんだもん。彼らだってもう少し危機感を持ってもいいと思うんだけど、あんまりそういう話は聞かない(笑)。

——クレジットカードはこれからも残りますか?

岩田:うん。形は変わるかもしれないけど残る。安泰!

電子マネーの将来は?

——電子マネーはどうですか?

岩田:FeliCa陣営(Suica、楽天Edy、nanaco、WAONなど)? そりゃあ早くて簡単だし。私が「Suica応援団」というのを置いておいても、FeliCaは生き残ると断言します。

——FeliCaを乗車券として使う仕組みも、これだけ全国に普及してしまったら、もう変えようがないですよね。

岩田:そう。だからFeliCaは勝ち組! 今より普及するかもしれない。簡易版Suicaもでてくるようだし、期待だね。

——これからはQRコード決済、というのが世の風潮ではあるのですが、FeliCaに慣れた日本人にとって、QRコード決済は受け入れられるのでしょうか。レジ前でアプリを立ち上げて自分のコードを表示させるのって、けっこう面倒なんですよね。僕がものぐさなのかな? ストアスキャンならまだしも、自分でお店のコードを読み込んで支払い額を入力しなければならないユーザースキャンだとさらに大変。その間に自分の後ろに列ができていったりしたら、気が気でなりませんよ。


岩田:その点電子マネーは便利でしょ。いちばんはっきり効果がわかるのがタクシーなんですよ。現金しかなかった頃は、とにかくお釣りという問題がついて回りました。夜なんか暗いところで財布をのぞき込んで小銭を探さなくちゃならないし、近距離で1万円札しかなかったときなんて最悪。あからさまに不機嫌になられて(笑)。「お釣りがない」と言って運転手さんが両替に行っちゃったりして、それをクルマのなかで神妙に待つハメになったり。

やがてクレジットカードが使えるようになりました。ただ慣れてない運転手さんだと、おぼつかない手付きでカードを端末に通しても認識されない、とか。「あれ? あれ?」なんて言っちゃってね。「現金にしますね」ってこっちが気を遣うぐらいでした。

その点Suicaなら、運転手さんの手間がない。ピッてやれば、ジジーッとレシートが出てきて終わり。長い距離を乗るときは残高が心配になるので、ポストペイのiDがベストってことになるのかな。

でも、これからはわからないよね。運転手さんは手数料が安いQRコードがいいと言うかもしれません。個人タクシーはもちろん、中小のタクシー会社でも、クレジットカードの手数料を運転手さんが負担しているところはいまもあるはずです。その点QRコード決済なら、手数料0円をうたうところもあるから、収入アップにつながる。

そのうちに、配車から支払いまでスマホを使ってネットで済ませて、運転手さんとはやり取りをしないという時代になるでしょう。いまでも「JapanTaxi Wallet」というアプリを使えば、乗車中にネット決済できるので目的地に着いたらすぐ降りられます。決済手数料はどれくらいなんだろう?

——ところで電子マネーやQRコード決済の場合、レジでいちいち「Suicaで」「nanacoで」、あるいは「ペイペイで」「オリガミペイで」って言うのは嫌じゃないですか? 僕なんか滑舌が悪いから、「iDで」と言ったのに「Edyですね」って聞き返されたことがたくさんあります。

まいばすけっとなどのイオン系のお店では、「Suicaで」と伝えたうえで、自分でレジのブランド選択画面で選ばなければなりません。

岩田:それはあるね。何も言わなくても、カードをタッチすれば自動的に判別してくれるようになるといいね。

QRコード決済は熊手!?

——さて、最近注目のQRコード決済ですが、日本で普及するでしょうか?

岩田:QRねえ……。これはねえ、熊手と思って使うといいんですよ。

——熊手?

岩田:熊手でどんどんポイントをかき集めるイメージ。だって、使い勝手だけでいったら、ほかのキャッシュレスより2歩も、3歩も遅れているんだから。

——先ほども言いましたが、客側がアプリを立ち上げたり、スキャンしたり、金額を入力したりと、スマートさには欠けますよね。

岩田:そう。私に言わせれば、そういった手間をポイント還元でカバーしようとしているのがQRコード決済なの。クレジットカードや共通ポイントなどをうまく組み合わせれば、ポイント二重取りどころか三重取り、四重取りも可能になります。だから利用者は、QRコード決済を使ってポイントをどんどん稼いでやろうと思ったほうがいい。

店側にしたって、導入コストはほとんどかからないし、決済手数料の無料キャンペーンもあって、メリットがいっぱい。さらに、支払サイトもすごく短いのは最大利点です。楽天ペイやペイペイなんて、最短で翌日入金ですよ。今まで入金の遅さを嫌ってキャッシュレスに踏み切れなかった個人商店にぴったり。こんなところにQRが入り込む余地はあるよね。

——そういえば、僕が通っている美容室は、リクルート系のAirペイを利用してクレジットカードに対応しているのですが、最近は「QRコード決済に対応しませんか?」という営業をよく受けると言っていました。

岩田:個人商店を中心に営業しているからね。美容院とか理髪店とかはQRコードは増えそうだなあ。僕がよくいく理髪店にも去年導入されていた。ご主人がえらく喜んでね。「導入コストは0円だし、決済手数料は3年間手数料タダ」って。しかも、毎月1%のインセンティブがもらえるそうで、「手数料を取らないうえに、逆にお金をくれるって太っ腹!」って驚いていた。今まで現金しか扱わない店だったんだけど、この変わりよう。考えてみると、髪を切り終わったら、その場で座ったままスマホで決済すればいいんだから、向いている。


——地域の商店街に浸透していきそうですね。先日、安倍首相がキャッシュレス体験をしたのは戸越銀座でした。

あとは、どういう店でQRコードが便利ですか?

岩田:引っ越しがいいって聞いたよ。動きながらでも立ったままでも対応できるから、意外に受け入れられているそうです。

——岩田さんの本のなかでキャッシュレスが進まない例として挙げていましたが、ラーメン店はどうでしょう? つゆや油がスマホ画面に飛び散ってしまいそうですが。

岩田:そういうところは、電子マネーがいいのかな。牛丼の松屋をはじめとした松屋フーズ系のチェーン店では、電子マネーに加えてQRコード決済に対応した券売機の導入を進めています。食券を買うときに使うだけなら、画面につゆは飛び散らない(笑)。ただ松屋みたいなナショナルチェーンの店は、QRもいいけど本命は電子マネーなんじゃないかな。QRはやっぱり個人商店でしょ。

——僕もさっそく松屋に行ってきました。実は、去年の「ペイペイ祭り」で還元されて貯まった残高がまだ残っていて、タダで食べられるんです(笑)。それはさておき、僕が入ったお店では券売機が2台あって、1台は現金専用でもう1台が電子マネーとQRコード決済のキャッシュレス対応機。ちょうど昼食のピーク時に行ったのですが、キャッシュレス対応機の方は行列ができているのに、現金専用機のほうは一人も並んでいない。なんだかんだ言って、キャッシュレスは普及してきているんだなと実感しました。ちなみに眺めていたら、電子マネーとQRコード決済の比率は、2対1くらいでしたよ。

さて、そろそろまとめに入りますが、キャッシュレス決済の今後は、ズバリどうなるでしょうか?

岩田:今まで現金で商売していた個人商店が、キャッシュレスの足がかりとして使うのがQRコード決済だと思う。ここを重点的に開拓すれば、キャッシュレス比率の向上に貢献すると思うよ。

——定着しますかね?

岩田:それはわからない。だって、QRコードは店本位の決済方法だもん。もう少し様子を見なければなんとも言えません。

でもね、最初の東京オリンピックの話に戻るけど、外国人観光客がキャッシュレス決済できないということが問題になっているわけでしょ? それを解決できるのはQRコード決済しかないと思う。ということで、今後どうなるかわからないけど、キャッシュレス化のカギは、QRコード決済が握っていることは間違いない!

>書籍の紹介
「キャッシュレス覇権戦争」 岩田昭男/著

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