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2018年5月2日 岩田昭男が探る

「キャッシュレス後進国」に落ちた日本。焦った政府が大胆な計画変更へ

岩田昭男


現金払いが根強い日本で、政府が「2025年までにキャシュレス比率を40%に上げ、さらに80%を目指す」という大胆なビジョンを発表。これは実現するでしょうか?

根強い「現金主義」に悩む政府。計画を前倒し&ハードル上げへ


東京五輪を見据えたキャッシュレス化

最近、キャッシュレスとフィンテックに関する情報がたくさん出回るようになりました。
キャシュレスは、2020年の東京オリンピックを前にしてカード比率の低い日本を、電子決済中心の国に作り替えようとする試みのことです。
先日、経産省がこれまでの目標をさらに高めて、キャシュレス比率を40%にまで持っていこうとするキャッシュレス・ビジョンを発表しました。さらに将来的には、80%というハードルを設定しました。



これは世界で1~2位を争う韓国並みの高さですから、大胆な提言といえます。

世界の流れを見て「2年前倒し」に計画変更

日本のこれまでの動きを振り返っておきましょう。
日本政府は、2014年の「日本再興戦略」で、「2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催等を踏まえ、キャッシュレス決済の普及による決済の利便性・効率性向上を図る」方針を打ち出しました。

ところが、世界に比べてキャッシュレス化が遅れていることへの危機感は相当強かったようで、経済産業省は2018年4月「キャッシュレス・ビジョン」を発表し、あらためてキャッシュレス推進のためのガイドラインを明らかにしました。

それによると、2017年に「未来投資戦略」で設定した「今後10年間(2027年6月まで)に、キャッシュレス決済比率を倍増し、4割程度とすることを目指す」(キャッシュレス決済比率40%達成)としていた目標を前倒しし、2025年開催の大阪・関西万博に向けて、より高い決済比率の実現を目指すというのです。

これを「支払い方改革宣言」と命名し、「さらに将来的には、世界最高水準の80%を目指していく」といっています。そして、この目標実現のために「キャッシュレス推進協議会(仮称)」を立ち上げ、産学官の「オールジャパン」で取り組んでいくというのです。

日本人にキャッシュレスは向かない?

具体策としては、消費者に対して、キャッシュレス支払いの不安化を取り除き、キャッシュレス支払いに対する優遇措置を講じるなどが検討される予定です。
販売店側に対しては、補助金や税制面の優遇などが考えられています。

しかし、結論を先に言ってしまえば、政府の目標実現は難しいと私は考えています。オリンピックの次は万博を持ち出す政府に、焦りのようなものすら感じてしまいます。
日本でキャッシュレス化がなかなか進まない理由は、日本人の気質、社会的な特質によるところが大きいと言えます。

それはたとえば堅実を重んじ借金を嫌う気持ちや治安の良さだったりします。これらは言うまでもないことですが、決して悪いことではありません。むしろ誇るべき美点です。
キャッシュレス化が進まない日本をガラパゴスとみなし、イノベーションが進まず経済発展に後れをとり、豊かさが失われると危惧する声があります。

仮にそれが事実だとしても、現金支払いに大きな不便さを感じなければ、よほどのメリットがあるか、強制でもされない限り、消費者はなかなかキャッシュレスには移行しないのではないでしょうか。

強硬策を取ってでも実行すべきだ

どちらを選ぶかを判断するのは消費者、われわれ国民ですが、現金信仰の強い国民を動かすには、少々の強硬策を取るしかないと私は思っています。
韓国の例に習うべき時ではないでしょうか。韓国は政府が飴と鞭を使い分けて、キャッシュレス化を強行しました。クレジットカードを使うと税負担を軽減したり、年末にはカードを活用した人に、宝くじを配るということまでしました。

それくらいのことをしないと、キャッシュレス決済比率40%はともかく、80%まで伸ばすのは、到底不可能でしょう。

電子マネーで長い行列が消えた

キャッシュレス化は買い物ストレスを軽減します。このことは現金派の人も否定できないでしょう。
キャッシュレス化が進めば、スーパーのレジの前で1円玉をひとつふたつと数える面倒や、忙しいときにかぎってレジが混んでいて、並んで待たなければならないときのイライラ感から解放されます。
お昼休みのコンビニのレジをみれば、それが分かります。現金しか受け付けなかった頃は、いつもサラリーマンやOLで長い列ができていましたが、SuicaやWAONといった電子マネーで支払いができるようになると、その列がなくなりました。

付帯サービスに注目!~おトクなポイント

いまの日本には、バラエティーに富んださまざまな、それこそ数えきれないほどのキャッシュレスの決済手段があって、それを自由に選ぶことができます。
しかも、それらの決済手段の多くが単に便利なだけではなく、ポイントをはじめとするいろいろな特典がついています。

現金で支払っていると得られない「おトク」がたくさんついてきます。その特典を活用すれば、現金生活に徹していては決して味わえないポイントによる経済的恩恵を得ることができます。

いつの間にか広がっている経済格差

そう考えるとキャッシュレスに積極的な人と、現金に徹する人との間には、すでに大きな格差が生まれていると言えるでしょう。
何もキャッシュレスばかりが優れているとは言っていませんが、キャッシュレスで得られる、その特典はもっとはっきり意識されても良いでしょう。
そしてこの特典は、スマホの登場で、決済ツールがスマホに組み込まれることで、生活の隅々まで広がり始めています。

ポイントだけではなく、健康増進から家計管理まで可能になります。その意味でキャッシュレスが、そのまま生活改善であるという時代がもうすぐそこまで迫っています。それに注目するべきでしょう。

岩田昭男

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