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2016年10月27日 O2O/スマホ

岩田昭男の「Apple Payの全貌がみえてきた!」

iphone7-and-apple-watch-suica_pr-printwp10月25日からアップルの新しい決済サービスであるApple Payのサービスが始まった。Apple Payには、日本で一般化している非接触IC技術の「フェリカ」が使われているので話題になっているが、最新のiPhone 7/ 7Plus、Apple Watch Series 2を使えば、ネットでの買い物だけでなく、リアル店舗での買い物にも使える。

このApple Payの登場は、私たちの日常生活だけでなく、銀行、クレジットカード・電子マネー業界に大きな影響を与えるといわれている。そこで、今回、日本でのApple Payの展開について、アップル本社の担当重役に聞いたので、ここに報告する。

アップルは、米国では2014年からApple Payのサービスを始めている。世界11カ国で展開しており、日本は12番目の国である。

日本以外では非接触IC技術として、NFCタイプA、タイプBを採用しているが、日本ではタイプFのフェリカで対応した。

発達した交通インフラは巨大な市場


なぜ、アップルがこの時期に日本独自の規格といわれるフェリカを搭載したのかが疑問だったので、Apple Payの責任者であるジェニファー・ ベイリー氏に聞いた。彼女はアップルのバイスプレジデントで、Apple Payの開発から営業戦略まで幅広くみている。

traffic「日本の交通インフラは非常に優れています。どこに行くのにも鉄道、地下鉄、フェリー、全国の路線バスなどの公共交通機関を使うことができます。そのネットワークは全国津々浦々に張りめぐらされていて、これは大きな市場といえます。

世界でこういう国を見つけるのは難しいでしょう。米国を考えても、クルマがなくても地下鉄でどこでも行けるのはニューヨークぐらいで、他の地域では、クルマがなければどこにも行けません」

たしかに、日本では、全国どこでも交通手段が発達していてスピーディーに移動できる。私たちはそれが当たり前と思っているが、世界的にみると、かなり特殊で、驚異的なシステムを作っているということだろうか。ジェニファーはそこに魅力を感じている。

「とくに朝夕の新宿駅、東京駅の光景は印象的です。何千人、何万人の通勤客で駅の構内はごった返していますが、改札では一瞬も留まることなく整然と進んでいきます。

jr_suicaこういう光景は他の国では見られない。そこで通勤客が使っているのがスイカなのです。スイカを使って電車もバスも相互利用できたりする。そして、そのベースとなっている非接触IC技術がフェリカなので、今回、私たちはそれを選んだのです」と彼女は語った。

日本の事情にあわせるために、統一ルールを破り、特別にフェリカを採用したというのだ。また、同時に「iPhoneは日本で5割を越えるシェアをもつメジャーなデバイスに育っている。そのiPhoneには、多くの人が使っている規格がふさわしいから、フェリカを選んだ」ともいっている。
ちなみにスイカが使える場所は、現在、約4500の駅と3万台のバス、35万の店舗である。これだけ拠点があれば、確実に全国で利用できるデバイスといっていい。

JR東日本にとってもこのアップルの後押しは、心強い。2001年にスイカをスタートさせて以来、順調に発行枚数は増えてきた。現在はスイカカードの発行枚数は5700万枚まで伸びているが、アンドロイドに入れたモバイルSuicaは370万と伸び悩んでいる(カード発行枚数の6%ほどしかない)。その原因のひとつが、フェリカがiPhoneに乗れなかったことにある。国際標準仕様のものしか使わないというルールに則った結果だった(フェリカは当時国際標準規格を取ることができなかった)。その障害が取り除かれたので、今後はスマホでも大きく伸びると期待しているのだ。

エクスプレスカードとマップ・アプリのサービスを追加


そして、10月25日のソフトウエア「iSO10」のバージョンアップにあわせて、スイカの魅力をさらに高めるための二つのサービスが追加された。

ひとつがエクスプレスカードだ。これはApple Payにスイカを登録すると最初の一枚は自動的にエクスプレスカードに指定されるサービスだ(Apple Payには最大8枚のスイカを収納できる)。指定されると、Apple Pay決済では本人確認のために必須のTouch IDを押すこともなく、iPhone 7をかざすだけで、改札を通って電車に乗ったり、買い物ができたりする。何も気にせず、手軽に使えるようになる。これは0.2秒で、駅の改札を通したいというJR東日本側の要望を受けて実現したサービスという。

mapswpもうひとつはマップ・アプリで、こちらは経路検索アプリである。全国の鉄道、バス、フェリーなどあらゆる公共交通サービスを網羅して経路検索ができるようになっている。「新宿に行くのにどの電車に乗ればいいですか」とiPhoneのSiriに聞けば、すぐに答えてくれるサービスもついている。

さらにユニークなのは、Apple Payにスイカを入れておけば、予定した経路の運賃が残額を超えるとチャージが必要なことを知らせるアラートが表示され、Apple Payに登録したクレジットカードの中から、チャージすることができる。これを使えば、移動の途中で立ち往生することはなくなる。

これは、iPhone 7のアプリとApple Payが連携した絶妙のサービスといえる。今後、続々でてくる交通系や金融系アプリとApple Payとのコラボへの期待が膨らむチャレンジである。

また、iPhone 7でスイカをよりスムーズに使うために、Suicaアプリも登場した。Suicaアプリではスイカの生成や、オートチャージが利用できるほか、Walletでのスイカへのチャージに対応していないVISAブランドのカードの場合もこのアプリでチャージを行なえるからスイカ利用者には必須のアプリといえる。。

スイカの登録方法はこうする


ところで、このスイカをどうやってiPhone 7に取り込むのかだが、ここにもアップルの知恵が詰まっている。やり方は簡単だ。



iphone7-jetblk-suica-card-transfe_pr-printwp持っているスイカカードをApple Payに入れるには、iPhone 7上のWalletをタップする。すると、クレジットカードとスイカのどちらを登録するかの選択画面が出るので、スイカを選択。そして、スイカカードの上に重ねるとスイカカードの情報をiPhone 7が自動的に吸い上げてくれる。あとは、裏のカード番号の下4ケタと記名式のものなら生年月日を入力すればいい。吸い上げられたスイカカードは使えなくなるが、カード発行時に支払った「デポジット」の500円は、iPhone 7内にスイカのチャージとして還元される。

以上で、iPhone 7でスイカが使用可能となったので、電車に乗ったり、街の商店で買い物ができるようになる。



ところで、他の電子マネーについてはどうだろうか。スイカ、iD、QPがApple Payに対応しているが、nanaco、WAON、楽天Edyはまだ対応していない。一体いつになるのかが気になる。そこで、これらの電子マネーが利用できるようになるのかジェニファーに聞いたところ、「いまのところは分からない」との答えだった。

なぜなら、「今はやっとスイカを始めたばかりであるし、クレジットカードの運用もスタートしたばかりで、その対応に忙しい。まだ、次のことを考える余裕はない」といっていた。

しかし、私はスイカの成功がはっきりすれば、nanaco、WAON、楽天Edyも入ってくるという流れだろうと思う。とくにnanaco、WAONは女性層を取り込むためにも早く手がけたいところであるだろうから。

クレジットカードの登録方法はこうする


リアル店舗での買い物で活躍するのがクレジットカードだ。Apple Pay(フェリカ)の環境下では、電子マネーiDとQUICPayのインフラを使って、一般のクレジットカードの決済処理もおこなうことになっている。だから、手持ちのクレジットカードがiDか、QPに対応している必要がある。

そこで、事前に自分が使うクレジットカードがApple Payに対応しているのかを調べておこう。そして、対応していたならばiDなのかQPなのかを知っておいた方がよい(実際は対応していれば、Apple Payに登録した後で券面にiDかQPのマークがでるので簡単に知ることができるからそれほど神経質になることはないのだが)。

ちなみに、スタート直後に楽天カードがApple Payへの対応を発表し、三菱UFJニコスも予定があると発表するなど、カード業界に大きな動きがでている。Apple Payに対応しないと生き残れない状況になりつつあるようだ。今後も対応するカード会社は増えると思われる。



add_cardでは、クレジットカードをApple Payに登録する方法を紹介しよう。まず、iPhone 7上でWalletをタップする。次にクレジットカードとスイカのどちらを登録するかの選択画面が出るので、クレジットカードを選択し、入れたいカードをカメラでスキャンする。

クレジットカード番号などが画面に浮かび上がってくるので、カード番号、名前、有効期限を確認して次のステップに行く(有効期限や名前が浮かんでこない場合は手動で入力)。本人確認のページとなり、SMSやビューカードのサポートセンターへの電話番号が出てくる。ここでSMSを選択すると、連絡先を登録しているケータイに8桁の確認コードが送られてくるので、それを入力することで本人確認は完了する。

これでiPhone7でクレジットカードが使えるようになる。ちなみに、スイカカードとは異なり、残されたクレジットカード自体はそのまま利用が可能だ。



スイカについては、利用できる場所も多くて、万全の構えであったが、クレジットカードについても、アップルは銀行やクレジットカード会社などと幅広く提携している。さらに、カード会社と協力して、日本国内で多くの大規模店舗や地元の商店、レストランなどで使える拠点を増やして加盟店ネットワークを作り上げた。
現在、アップルペイに参加している主要なカード会社は、イオンカード、オリコカード、クレディセゾン、JCBカード、トヨタファイナンスのTS CUBIC CARD、ビューカード、三井住友カード、楽天カード、Docomoのdカード、KDDIのau WALLETクレジットカード、ソフトバンクカード。今後三菱UFJニコスカードも対応予定だ。国内の80%を越えるカード会社が参加しており、世界・国内のネットワークに対応した、国内のクレジットカードによる支払いの4分の3以上を占めることになる。
また、利用できる店の数も多く数十万店をすでに確保しており、その多くが大規模店舗で占められているという。これはiDを主導するドコモと三井住友、QPを主導するJCBとトヨタファイナンスの地道な努力があったからである。

中でも、いち早く対応したのはTSUTAYA TOKYO ROPPONGIだ。さらに、セブンイレブン、ミニストップ、ファミリーマート、そしてローソンといったコンビニエンスストア、AEON、アピタそしてピアゴといったスーパーマーケット、エッソ・モービル・ゼネラル、ENEOSといったガソリンスタンド、ビックカメラ、マツモトキヨシそしてユニクロといった小売店、そしてすき家、日本交通などでもApple Payが使える。もちろん、国内のApple Storeでも利用できる。これだけあれば、毎日利用する分にはまず問題ないだろう。

 TSUTAYA TOKYO ROPPONGIで撮影

TSUTAYA TOKYO ROPPONGIで撮影




giftee

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さらに、Apple Payに対応したオンラインショッピングでは、Touch IDに指を載せるだけで支払いが完了する。オンラインブランドとしては、giftee、じゃらんnet、出前館、TOHOシネマズ、日本交通、BASE、minneなど幅広くあるが、その良さは、一旦登録すると、クレジットカード番号をはじめ、アカウント情報や配送先、連絡先を再び入力する手間がないこと。さらに、プライバシーにも配慮してくれていて、カード番号はだれにも知られない。

日本人の好きなポイントプログラムがいつ入るかも気になるところなので、聞いてみたところ、「未定」との答えであった。しかし、ジェニファーは、米国の事例を紹介してくれた。「米国では2014年にApple Payをスタートしていますが、ポイントカードを始めたのは今年からです。二年ほど様子をみていました。いまは、9000万人の会員をもつ大手ドラッグストアやドーナツ店が展開しています」という。

こうした例をみても、最初に少し手がけて、「うまく行きそうだ」とみると、果敢にでていくというのがアップルのやり方といえる。日本でのポイントサービスも2~3年中にはでてくる可能性は十分にある。

アップルの「セキュリティとプライバシー」


最後にアップルはいつも基本的な経営ポリシーを強調する。その代表となるのが「セキュリティとプライバシー」である。どちらもアップルがもっとも力を入れている主張である。というのも、この二つが利用者保護にもっとも大事なものとみているからだ。それについてジェニファーは次のように語っている。

「安全性と個人情報の保護はApple Payの基礎となる重要な要素です。iPhoneやiPad、Apple Watchを紛失した場合でも、「iPhoneを探す」機能で紛失モードに設定していただくことで、簡単にApple Pay のご利用を一時停止することができます。リモートワイプ(遠隔消去)を実行していただくことで端末に保管されるApple Payを含む個人情報をすべて消去することもできます。iCloud. com にログインし、Apple Payの支払いを停止することもできます。
Apple PayをiPhone等の端末に設定した場合も、お客様がお持ちのクレジットカード番号はお客様のデバイスやAppleのサーバーに保管されることはありません。お客様の端末には、各デバイス固有のアカウント番号が発行され、暗号化された状態で安全にデバイス内のセキュアエレメントに保管されます。Apple Payをご利用いただく際、お客様のクレジットカード番号が、加盟店に通知されることはありません」

アップルは一貫して「安全とプライバシー保護」に言及している。これらはすべて顧客第一主義を貫くもので、利用者の安全とプライバシーを守ることが最も利用者のニーズに沿うことだと確信している証拠だ。こうした点を日本のカード会社をはじめ企業は、もっと学ぶべきではないかと感じた。

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